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作戦を遂行せよ!__fkr ページ1




「ちょ、ちょちょちょ、Aさん!
ふくらさんと結婚するってマジですか?!」


穏やかな雰囲気に包まれた昼下がり。

気温は適温、お腹は満腹。

午後の業務のために気合いを入れようと、勢いよく口に含んだ水を、こうちゃんのその一声によって見事パソコンに向かって吹き出したのである。


「ゲホッ、ゲホッ…」


斜め前に座っていた山本くんのとんでもないものを見るかのような目線と、近くにいた人に向けられる視線が痛くて、急いでこうちゃんに詰め寄った。


「こうちゃん、お願いだから変なこと言わないで。何がどうなったらそんな話が出るの??」

「え、じゃあ付き合ってるとか?」

「ありえないでしょ!」


そんな私の必死の形相に、こうちゃんが尻込みした様子で、


「だって…」


と何か言い訳を言いかけた。


もちろんそれを許すわけもなく、少し頭を使ったらそんな話嘘だって分かるでしょうが!と母が息子に叱るが如く説教じみたことをしてしまった。


なんだか納得がいっていないようだったが、まずは誤解を解くのが何よりも先決だった。


不幸中の幸いというか、今日は学生アルバイトの子たちがみんな試験だとかなんだとかでオフィス内にいないのだ。

もしこんなバカげた噂を聞かれてしまったら最後、一週間はおもちゃにされるに決まっている。


「……はぁ。もー」


頭が痛い話だと、ハンカチでパソコンのモニターを拭いていたその時だった。


「いや、ありえない話…じゃなくないですか?」


ドーン!!とまるで爆発音が聞こえるような発言を、可愛らしい顔をした山本くんがこの場に投下したのだ。


「えっ、だよね?!そうだよね?!」


急に味方が現れたのが嬉しいのか、さっきのしょんぼり顔はどこへやら、顔を赤くして全力で同意を求めている。


「結婚とまではいかなくても、Aさんと福良さんは付き合ってるってみんな思ってましたよ?」


パッとオフィスを見回すと、その場にいた全員がこちらの話に耳を傾け、真剣に頷いていた。


いやいや…と辛うじて口には出すも、ここまで来ると面倒くさくなってデスクの椅子に体を放り投げた。




ありえない。

本当にありえないのだ。


私と福良が結婚、ましてや付き合っているなど。


どうしたものかと白い天井を見上げて頭を抱えるしかなかったのである。

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作者名:徳子 | 作成日時:2024年1月6日 4時

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