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28話「喫煙者は嫌いだけど彼は特別」 ページ29




「……A」























『……………………え。』


懐かしい声に一瞬体が動かなかった。



ジョディさん達を見てもニコニコと笑顔のまま。



「……A、俺だよ。」


声を発してるのは…



『…昴、さん……じゃ、ない……?』


よく見れば彼の首元にはチョーカーが身につけられていた。


ビリッ


何かを破く音が私にはやけに大きく聞こえた。

昴さんが自分の顔に手をやり"何か"を剥がしていく


『…………ぁ……あぁ……ッ』



変装マスクの下には死んだと思っていた秀一だった


「……A。」


もう一度、彼が落ち着く声で私の名を呼ぶ。


とても、穏やかな笑顔を私に向ける。


両手を広げる秀一に咄嗟に飛び付き抱き締める。


そこに、彼の存在を確認するように
両腕を彼の背中に回した。
彼も、私の背中に手を回す。


『ほ、ほんとに秀一、?』

「嗚呼。今まで黙っててすまない。
都合上、死んだように見せかけてたんだ。」


『ほんと、だ。ほんとに秀一だぁ…ッ』

秀一の両頬を両手で包む。

「Aは泣き虫だな。」

『だれの、せいよッ』

「はは、俺のせいだな。」


ポロリ、と零れ落ちた泪を優しく指先で拭ってくれる。

「すまない。Aには辛い思いをさせてしまった。」


『……でも、昴さんの姿になっても私を見守ってくれたんでしょ?』


「嗚呼。」


『なら、許してあげる。だから、もう私の前からいなくならないで……。』((ギュウッ


「ああ、必ず。約束しよう。」








(僕達は退散しよっか。)

(そうね、秀一(シュウ)達の邪魔にならないように)





いつの間にか私達2人だけが工藤邸に残っていた。

お昼休みの時間はとっくに過ぎていてスマホには由佳からの着信が何件かあった。


『……今日は、もう仕事しない事にするね。』


「?何でだ?」


『だって…仕事に戻ったら秀一がいなくなっちゃう気がしてならないんだもん。』


「Aを勝手に置いて行くような真似はしないさ。」


ギュゥ


「どうした?」


『…煙草。』


「!嗚呼、すまない。臭い付いてたか?」



『ううん。秀一だけなら…








煙草は、好きになれそう。』






今まで父親のせいで喫煙者を避けていた私。

だけど、彼は特別。


未だ喫煙者は嫌いだけど、秀一の煙草は大好き。



『だから、私の前でも吸っていいからね』

「ありがとう」

私は幸せ者だな。


ーーーfinーーー

『後書』→←27話「懐かしい声」



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秋桜 - 楽しみながら読ませていただきました。これからも更新頑張ってください! (2019年1月11日 21時) (レス) id: 07c08a8855 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - こんばんわ!!赤井さんかっこいいですよね!!とても面白いです!!更新頑張ってください!応援してます!! (2019年1月5日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - とても面白いです!!更新楽しみにしてます! (2018年11月3日 10時) (レス) id: d0b35e2f73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りな | 作成日時:2018年10月28日 9時

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