第五十二話 ページ7
花京院君を承君が止めてくれたけれど､男の人は重症みたいだ｡
「痛いなあ…なにも僕を突き飛ばすことはないでしょォ｡こいつは僕のサイフを盗ろうとしたとっても悪いやつなんですよ｡こらしめて当然でしょ!
違いますかねェ？承太郎くん!」
花京院君が怖い……本当に､中身が違う人になったよう｡
「何にらんでるんだよ｡ずいぶんガンたれてくれるじゃあないか､承太郎くん｡まさか､あんた――こんな盗っ人をちょいと痛めつけたってだけで､この僕と仲間割れしようっていうんじゃあないでしょうね――」
2人の間に緊張感が走る｡
近くの子供たちが､カブト虫がいると騒いでいるのが､どこか遠く感じた｡
「フフフ」
『へ…？』
「JOJO､檜垣さん､そう大げさに考えないでくれよ｡今日はちょっとばかりイラついていたんだ…機嫌が悪い日さ…君らだってそういう時があるだろう…確かに､ちょっとばかりやりすぎて痛め付けてしまったな」
……あれ？
「"機嫌が悪い？"……良さそうに見えたがな」
承君は気が付いていないのかもしれないんだけれど､私は違和を感じた｡
どうして彼は――
「じじいとアヴドゥルは､列車でインドへ向かった方がいいと計画している｡明日出発だ｡シンガポール駅へチケットを予約に行くぜ」
そう言って承君が歩き出したので､慌てて私もついていく｡
そっと花京院君の方を見ると､何かを一心不乱に食べているようだった｡
彼が振り返ると､口から飛び出しているのは節足動物の足に見えた｡
『ひっ…』
「千紘､どうした？」
アンちゃんも見たのは､承君の腕に縋り付いてきた｡
「おい､2人してどうかしたか？」
『か…花京院君が……ううん､見間違いかもしれないんだけれど』
「…きっとココナッツの筋が何かよ､千紘さん」
『だ､よね｡そうだよね』
花京院君がカブト虫を食べるなんて……遠目から見たから間違えたんだ｡
近くにいたアンちゃんが､ココナッツの筋と言っているんだから､きっとそう｡
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年4月20日 15時) (
レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
神奈(プロフ) - とても面白いです！更新が止まってるようですが、続き楽しみにしてます！ (2019年4月13日 3時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナーガ | 作成日時：2017年10月22日 17時
