第五十八話 ページ13
昼も近い時間帯､承太郎は電車の最後尾で煙草を燻らせていた｡
そんな彼の元へ近付いてくる足音｡誰かと思ったが､すぐに答えがわかった｡
扉が開かれると､出てきたのは予想通りに千紘だった｡
『…あれ､いたんだね承君』
承太郎がいると気が付いた千紘は少しだけ表情を強ばらせたものの､戻らずに扉を閉めた｡
『結構風が強いけど､良い所だね』
「そーだな…」
承太郎はチラリと千紘を見上げた｡
今は腰を下ろしているので､千紘の方が目線が高い｡それが何だか新鮮だった｡
まだ半分ほど残っている煙草の火を､承太郎は躊躇いもなく消した｡
『あれ？煙草消しちゃったんだ』
「俺だけならまだしも､てめーがいる場所で吸えるか」
『そっかぁ』
気にしないのに…と独りごちる千紘｡
その時､突風が2人を襲った｡
「っと…」
承太郎は帽子を飛ばされないようにしていたが､千紘は若干間に合わなかった｡
『あひゃう!?』
慌ててスカートを抑えるも､承太郎の目には千紘の真っ白な脚が太腿まで入ってきた｡
そして､座っていたからこそ見えたであろう､千紘の臀部や骨盤部分を覆う真っ黒な布｡
黒――千紘の下着の色は､闇の様なブラックだった｡
『……見た？』
「……いや」
本当はガッツリ目に焼き付いてしまった｡
だが､ラッキーだと思いつつも後ろめたさもあったので､否定しておく｡
『うぅ〜…』
千紘は頬を赤くさせて顔を俯かせた｡
顔は見えなくなったが､髪から覗く耳は同じくらい赤くなっていた｡
少なくともちゃんと意識されているとわかり､承太郎は帽子のつばを下げた｡
『そ…そうだ｡そろそろお昼ご飯らしいから呼びに来たの』
「そうか」
『早く行こうよ』
千紘のあからさまに動揺していますと言っているような態度に､承太郎はニヤリと少しだけ口角を上げた｡
頭の中では､どうやって彼女をオトそうかと考えを巡らせていた｡
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年4月20日 15時) (
レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
神奈(プロフ) - とても面白いです！更新が止まってるようですが、続き楽しみにしてます！ (2019年4月13日 3時) (レス) id: c414ab850f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナーガ | 作成日時：2017年10月22日 17時
