Not a Hero 《1》

30話 ページ31

『ちょっとロキ何やってるの？』


「あぁ…Aか…助けてくれ。」


『痛そうだから、そのままでいい…。』

ロキは放心状態で天井をただ見つめている。


『ロキ、どこであの杖を手に入れたの？』

「貰ったんだ、4次元キューブを欲しているものに。」


『あの杖には、危険な石が使われていた。
持ち主や近くに居る者にも悪影響を及ぼすほどの。

反省してくれる？』


「もちろんだ…Aを傷つけた。

すまない、許してくれ…。」

ロキは顔を動かし私の目を捉えた。

久しぶりに見たロキの瞳はあの時と変わらない澄んだ瞳…



ではなかった。


『うん。ロキ…私が許すと思った？』


「まて、まて！どういう事だ謝罪なら今！」


『例え大切な兄でも、間違いを犯した者は

決して許すわけには行かないの、分かる？』


「私が知っている妹は、こんなに恐ろしいはずがない。

お前は誰だ！」


『それは、もう何年もロキとは会ってないもん

だから私にも言わせて。お前は誰だ？』


ロキは相当お怒りのようだ、手を強く握って震えている。

『だいたい、あなたがこんな間違いを犯したせいで

私はソーに酷いことを言われたのよ？

遠回しに、お前は妹ではない的な事』

「それは聞き捨てならない。

君は間違いなく私たちの妹だ。」


『ありがとう…ロキ。本当は酷く傷ついたの。

それより…いつになったら
あの横柄で阿呆な性格が治るわけ？』


ロキに怒りをぶつけるつもりが、今まで溜まっていた
不満の全てが胸から溢れ出てくる。



『ねぇ、子どもの頃あなたと一緒にした

イタズラを覚えてる？』

「ああ、まぁ…覚えているさ。」

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