二十二話 欲 (妹)side ページ26
目の前で、ぐったり倒れている姉が、なんだか急に、愛おしく思えてきた。
「お姉ちゃん」
口にしてみた。
何かがちがう。
なんか、寂しい、物足りない。
「A」
これだ。これが一番しっくりくる。
これがいい、今度から、次からはこう呼ぼう。
目の前の姉…Aは、ひゅーひゅーと苦しそうに息をしている。
まだ、生きている。
さて、ここから姉をどうやって運ぼうか。
私ひとりの力では無理だ。
いや、でもなんとか私の車のところまでは運べるかもしれない。
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「よいしょ…っと」
車の後ろの席にAを横たわらす。
自分は運転席にのり、エンジンをかけて車を出した。
家に着くまで考えた。
さっき急に姉が愛おしく思えたのは、何故だろう。
……分からない。
姉に対する愛おしいとは、谷崎くんと、同じ感情だろうか。
……違う感情だ。
谷崎くんに抱いている感情は独占欲。
じゃあAは?
……同じようなもの…だけど支配欲だ。
この女を思い通りにしたい。
それはどこか谷崎くんに求めているのとはちがう。
Aには私の言っていることを忠実に従ってほしい。
でも谷崎くんには、私の言いなりにはなって欲しくない。
ただ両思いになりたいだけだ。
なぜ、急に姉が、Aが愛おしくおもえたか、ちょっとわかった気がする。
ぐったりして動かなくなったAは、私に反論しなくなったからだ。
さっきから他人に説明するには難しすぎる感情が私の中で渦巻く。
どうしようもないものだ。
そんなことを考えている内に、私達2人の家についた。
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あ - とても面白いです!! 続きが気になります! (2022年12月27日 0時) (レス) @page33 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!文才の神か何かですか作者樣、、、?←凄く面白いです!更新楽しみにしてます! (2022年2月9日 1時) (レス) @page33 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんた(プロフ) - 続きが気になる、、、 (2020年1月1日 17時) (レス) id: 861ce0be8f (このIDを非表示/違反報告)
MAX黒城(プロフ) - 千さん» ありがとうございます!頑張ります!!! (2017年5月8日 4時) (レス) id: fa125b920f (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - 全然大丈夫ですよ!文才は減ってなんていません!むしろ私から見たら増えてるような……。なので、大丈夫、です!続きが気になります!頑張って下さい! (2017年5月8日 4時) (レス) id: c3a5a30d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MAX黒城 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=Konatu060
作成日時:2017年3月17日 16時