残された手紙 ページ9
薬指に向かって指をさす。
DH「A……。」
「はい？」
DH「お前……リングどうした…？」
「えっ？」
Aは慌てて左手の薬指を見た。
「あれっ……。どっかで取ったっけ……。」
慌てるような素振り。
タオルを放って鞄に駆け寄ると探ってみる。
「無い……。どこやったんだろう……。」
独り言を呟きながらあちこち部屋を探して回っていた。
昨日はしてた…
確かにしてた…
「もぉ……どこ行っちゃったの…？」
ブツブツ言いながらバスルームに入って行くA。
昨日の俺の傍にいたA…
俺のよく知っているA…
昨日はしてたリング…
今日は無いリング…
DH「A……。」
ソファから立ち上がるドンへ。
Aとは真逆の寝室へ入る。
自分が使っていた枕をめくってみる。
当てが外れると部屋を見回した。
Aが外したんだ…
きっと何か理由があって…
開きっぱなしのスーツケース。
自分の服のポケットをひとつずつ探る。
どこだ…？
A…
どこにやった…？
ベッドの脇に放ったままの自分の鞄。
掴み上げるとベッドの上に中身をぶちまける。
ひとつも残さないよう鞄を振ると、一番最後にポケットに引っかかっていたものがこぼれ落ちた。
不自然に畳まれた紙。
あからさまに何かを包んでいる。
摘まむように手に取ると紙を開く。
そこにはAのマリッジリング。
紙には包帯を巻いた手で書きにくかったんだろうと分かる文字。
ドンヘはバスルームからAが戻って来ないかチラッと見ると紙に視線を戻した。
ドンヘ…
私がここに残す言葉を…
どうか少しも疑わずに受け入れて欲しい…
とても非現実的な…
とても信じられないような話…
でも…
それが事実…
私があなたに語れるただ一つの…
真実だから…
やけに早くなっていた鼓動。
「どうしよう……見つからない……。ここじゃないのかな…。」
泣きそうな顔でバスルームから戻って来るA。
ドンヘは慌ててリングと紙をズボンのポケットに押し込んだ。
「ごめんなさい……。外した覚えはないんですけど…。」
DH「きっと…そのうち出てくる。」
「でも……。」
潤ませる瞳。
ドンヘはそっと小さな頭を撫でた。
DH「また新しいリングを探そう。あれはもう古い物だし。な？」
「ごめんなさい…。」
ドンヘは早くAの残した手紙の続きを読みたくて仕方なかった。
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みんはは(プロフ) - ゆちょみんさんのお話はハッピーエンドになると言い切れないからドキドキします( > <。)ドンへが幸せになれますようにただ祈るのみ( > <。) (2017年4月24日 13時) (
レス) id: 2600b841f9 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 切ない苦いですね(TT) (2017年4月23日 12時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月22日 11時
