束の間 ページ22
重力に逆らわず膝をつくドンへ。
自分の身体にクタッともたれているAの身体を抱きしめる。
少しの間時間が止まっていたような沈黙。
輪を作っていた野次馬も事の成り行きを固唾を飲んで見ていた。
DH「A………おいで……。」
耳元でそう囁く。
落ちていたAの瞼がゆっくりと持ち上がった。
顔を持ち上げれば微笑むドンへ。
DH「お帰り。」
「強引……。」
DH「好きだろ…？」
「そうね……。」
微笑みを返すA。
小さな手でドンへの頬を撫でた。
DH「愛してるよ………A……。」
囁いて寄せる顔。
フワッと包むようなコロンの匂いと一緒に触れ合わせる唇。
さっきよりもずっと優しいキスが重なる。
細い腕がドンへの首に巻きつくと、何度も唇を重ねなおした。
誰もが恥ずかしくなるようなキスシーンのはずだった。
それなのに、誰もがカメラに収める事も忘れてただ二人を囲むように立っていた。
ウギョルの家に戻って来た時には日付は変わっていた。
何か聞きたそうな顔のクルーたち。
DH「すいませんが…明日はお休みで…。俺仕事なんで…。」
*「分かりました……。」
走り出すワゴンをドンヘは笑顔で見送った。
DH「中入ろう。」
そう言って先に扉に向かうドンへ。
それでもAは動かない。
DH「A？」
振り返るドンへはAの元まで戻って来る。
DH「どうした？」
俯くAは黙っているだけ。
細い腕を取って自分の腰に巻きつける。
DH「A。どうしたの？」
指先で柔らかい髪を撫でるように払って微笑んだ。
「……束の間よ？」
ポツリと呟く。
DH「……そうだね…。」
「分かってるならっ……。」
DH「一日……たった一日だよ……。」
本当なら…
時間など少しも気にせず…
この細い身体を抱きしめて過ごせるはずなのに…
俺が…
長い年月キミを失っていた俺が…
Aに会えたのは…
たった一日…
DH「ずっと居なければ…もう会えないんだって言い聞かせる事も出来る……でも…。」
会ってしまったら…
もう言い聞かせるなんて無理だ…
一分一秒…
傍にいられない時間があるなんて…
無理なんだよ…
ドンヘはズボンのポケットに手を突っ込む。
Aが外してドンヘの鞄に突っ込んだリングを握りしめるとAの前で掌を開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みんはは(プロフ) - ゆちょみんさんのお話はハッピーエンドになると言い切れないからドキドキします( > <。)ドンへが幸せになれますようにただ祈るのみ( > <。) (2017年4月24日 13時) (
レス) id: 2600b841f9 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 切ない苦いですね(TT) (2017年4月23日 12時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月22日 11時
