止まらない涙 ページ1
Aの意識は飛ばされる寸前だった。
クタッとドンへの身体にもたれる。
細い身体を抱きかかえるとベッドまで連れて来た。
Aをそっと下ろして自分も潜りこむ。
呼吸が整わないAの頬を撫でる。
「ちょっと…手怪我してるのよ…。」
DH「ごめん…。」
苦笑いを浮かべて笑うドンへ。
そのドンへの顔を見てAも笑っていた。
まだ汗ばんでいるドンへの胸に額をくっつける。
「ドンへ……。」
DH「ん…？」
「………愛してる………。」
たった一言…
たった一言なのに…
勝手に震えるドンへの肩。
涙が…
止まらなかった…
Aの細い身体を包むように腕を回すドンへ。
「……ごめんね……ずっと一人にして……。」
ごめんね…
辛い思いばかりさせて…
小さな肩に頭を乗せて静かに泣いていた。
Aが小さな言葉を囁けば囁くほど、溢れて止まらなかった。
午前10時少し前。
コツコツとヒールの音を響かせる。
顔を隠すような大きなサングラスをかけて。
勢いよく開くスタジオの扉。
賑やかなスタジオの中を見回すA。
その傍らにドンヘを連れていた。
「変な感じね………。」
ドンヘは口元を緩める。
Aはサングラスをゆっくりと取るとスタジオの中に小さく頭を下げた。
コーヒーの入ったカップを手に振り返る剣史。
寄り添うように立っていた雪。
二人を見てニヤッと笑うと近づいて行く。
剣史『お前………大丈夫なのかよ………』
Aは鞄と手にしていたサングラスを指定席に放った。
『雪と同じ事聞かないで。』
剣史『え…。』
『大丈夫な訳ないでしょ？痛いわよっ！』
一歩前に踏み出してセットを見上げる。
『でも、芝居が出来ないなんて事にはならないから心配しないで。』
剣史『……A…？』
いつもと違う小さな違和感を剣史も感じた。
Aは剣史に振り返りもせず手だけ伸ばす。
何の合図が分からなくてきょとんとした。
『早く頂戴よ。』
剣史『頂戴って……何を…？』
『は？台本に決まってるでしょ！？』
剣史『えっ……あぁ……。』
自分の椅子の下にある台本をAに渡した。
パラパラと捲った後ブツブツと呪文のように何度か繰り返すとパタンと閉じた。
Aの元へ走って来る衣装。
腕に以前着たチョーカーと子供っぽい服を抱えていた。
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みんはは(プロフ) - ゆちょみんさんのお話はハッピーエンドになると言い切れないからドキドキします( > <。)ドンへが幸せになれますようにただ祈るのみ( > <。) (2017年4月24日 13時) (
レス) id: 2600b841f9 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 切ない苦いですね(TT) (2017年4月23日 12時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月22日 11時
