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明け方の部屋 ページ11

案の定。

Aはマンションに戻って来ていた。

リビングへの扉を開けてハッとする。


自分の身に受けた恐怖が蘇る。

良くなりかけている傷が痛む気さえした。


すくんでしまう足。

震えてしまう身体を小さな拳を握りしめて我慢する。


居場所が無いくらい色んな物が散乱しているリビングを抜けて寝室への扉を開けた。

少しも荒れていない平和な空間。

ほんの少しだけホッとする気持ちで開けるカーテン。


日本はもうすぐ朝を迎えようとしていた。


力が抜けてその場に座り込む。


『………ドンへ…。』


小さな小さな声で呟く。


『ホントに……もう…いないの…?』


誰に問う訳でもない疑問。


『ホントに……もう………会えないの……?』


少しずつ。

頭や身体を侵食していくような寂しさがジワジワと首を絞めた。


そして…。


剣史『やっぱりこっちにいやがったか……。』


軽く息を乱して扉の前に立っていた剣史。

Aの姿にホッと息を吐いた。


ゆっくり、ゆっくりと剣史へ向いて行く顔。


『剣………史……。』


一瞬で出来上がった泣き顔。


『ドンヘ……私と…別れるって……。』


吐き出すような声に顔を歪める。


『私と……離婚するって……。もう………戻って来ないんだ……。』


いつの間にかボロボロとこぼれ始めた涙。

俯けば、床が後から後から落ちる涙でぬれていく。


静かに足を踏み入れる寝室。

剣史はAの横で泣いている小さな身体を見下ろした。


俺は…

長い事お前を見て来た…

お前の背中を追ってきた…


いつも気丈で…

声を荒げてて…


その肩に…

他人が想像も出来ないもの乗せて…

必死で頂点を守り続けてきたお前が…


芝居以外で泣いているのを…

一体何度見た事があっただろう…


でも…

ドンヘと出会って…

お前はよく泣いて…


その分…

笑って…


叫ぶように声をあげて泣いているAをたまらず強く抱きしめた。


剣史『泣くな…………。』

『剣……史………。』


しがみつくような小さな手。


雪……わりぃ…

俺はお前を愛してる…


でも…


俺はやっぱり…

こいつが好きで…

こんな姿が嫌で…

見てられねぇんだよ…


剣史『一人になんかしねぇから……。』


涙にぬれた弱々しい姿。

さっきまでの気丈さはどこにも見えない。


一人で泣かせたりなんかしねぇよ…

俺が…


指先で持ち上げた細いあご。

ゆっくり顔を下ろす剣史は、Aの泣き声ごと飲み込むようなキスを落とした。

嫌な笑い→←女優の末路



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設定タグ:K-POP , SUPERJUNIOR , ドンヘ   
作品ジャンル:恋愛
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りん(プロフ) - 男ドンちゃん頑張ってくださいね〜(*´-`)ヒロインちゃんの心とかして… (2017年4月10日 14時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - (*´-`)ドンちゃん頑張って (2017年4月9日 16時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - りんさん» 最初のお話からは随分進歩した二人が垣間見えたら嬉しいです。でもまだまだ終わりませんよ(笑 (2017年4月9日 13時) (レス) id: 6cff334935 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ドンちゃんの心とヒロインちゃん二人の成長、ヒロインちゃんは、命をかけてしまうほどにドンちゃんを愛してるのは、確かだね〜(*´-`) (2017年4月9日 10時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - りんさん» いつもコメントありがとうございます。これから中盤戦に入りますのでお楽しみに^^ (2017年4月9日 9時) (レス) id: 6cff334935 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆちょみん | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/yuchuming/  
作成日時:2017年4月7日 14時

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