way -光の射す方へ- Part2 (ページ7)

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命ページ7

簡単な検査の後。

暫く待たされた。

『これだから嫌いよ……病院なんて……。』

ぼやきながら細い足を組み替える。

凛『まぁ…外来の方は結構混雑していましたから仕方ありません…。』

そう言って苦笑いした。

『凛。』

凛『はい…。』

『雪にも話してないでしょうね…？』

凛『まだ連絡はしていません…。』

『言わなくていいわ…。』

もう終わる…

一瞬で何も無かった事になる…

それでいい…

ガラガラと扉が開けば白衣姿のまだ若いであろう医者が入って来た。

DC「お待たせして申し訳ありません。」

「ホントよ。私は忙しいの。」

苦笑いが返って来る。

DC「まさか、こんな所でAさんにお会いできるとは思っていませんでした。」

「そう。チャンスなんてどこに転がってるか分からないものよ。」

DC「そうですね。」

医者はAの前に腰を下ろす。

腕に抱えたカルテを目の前のテーブルに置いた。

「あなた。」

DC「はい？」

「随分若そうだけど…研修医じゃないわよね？」

DC「残念ながら…こう見えて35歳です。」

「え？」

DC「がっかりですか？」

「人って見かけによらないのね…。」

DC「すみません…。」

「別に謝る必要ないわ。」

他愛もない話の後。

カルテを手にする医者。

DC「じゃあ、お話を。まず結果ですが。」

組んでいた足をはずすA。

傍らに凛が立っている事も気にせず、身を乗り出した。

「結果の話なんかいらないわ。単刀直入に言わせてもらう。」

DC「はい。どうぞ。」

「私は産まないから。今すぐ処置して。」

凛「えっ…。」

DC「産まないんですか？」

「二度も言わせないでよ…。」

不機嫌そうに顔を逸らした。

DC「ご主人様もそれをご希望ですか？」

「旦那は関係ない。これは私の問題なの。」

DC「そういう訳には行きません。出産はご夫婦の問題です。」

「私が産まないって言ったら産まないのよっ！」

バンッ！！

と手で叩きつけるテーブル。

「子供なんか産んでる暇無いの。私にはそんな事してる時間は無いのよっ！」

ジッとそれを聞いている医者。

「いい…？私は女優なの。これが終われば映画が待ってる。立ち止まってる暇なんか無い。」

DC「だから殺すんですか？」

「え…。」

DC「あなたの中で確実に生きている、あなたとご主人の命を殺すんですか？」

そんな言い方をされると思わなくてAはとても戸惑った顔をした。