似たタイプ ページ37
雪と繋がっている短い間に何度も聞こえる怒声。
DH「A……大丈夫ですか…？」
雪「どうして？」
DH「Aも似たタイプかと……。」
そう言われて雪はAの指定席に視線を投げる。
少しも気にする様子もなく剣史と台本片手に話をしているA。
雪「あの子はあの子で成長してるのよ。」
DH「そうですか…。」
雪「心配？」
DH「心配ですよ……身体の事もありますから…。」
雪「大丈夫よ。剣史も煉も一緒だから。」
DH「煉って……二階堂煉ですか？」
もう古い過去の記憶。
ドンヘとAを引き離しかけた嫌な記憶。
雪「二人とも、Aの事をよく分かってるし、何より、Aを慕ってくれてる。」
DH「はい……。」
雪「Aの事は任せなさい。」
DH「よろしくお願いします……。」
浮かない声になってしまわないように気を使ったのに、結局語尾のトーンが落ちた。
一つだけ…
懸念があるとしたら…
あの子と共演する事で…
Aはきっと…
また迷ってしまう…
主演女優という立場を思い出して…
また悩んでしまう…
私はこんな所で…
くすぶっていていいのかと…
自分で…
そうすると決めた事すら…
見えなくなって…
それを止められるか…
私には自信がないわ…
雪は切れた携帯をギュッと握りしめた。
現主演女優と旧主演女優対決と名打たれたドラマ。
主演男優と助演男優を脇に繰り広げられる愛憎まみれの大人のドラマ。
その始まりは痛そうな音だった。
パンッ！！
Aの頬を力一杯叩いた梓。
叩かれたAの頬がほんのり赤くなっていた。
それでも顔色ひとつ変えず視線を落とす。
梓『泥棒猫みたいな真似しないでよね？』
顔を近づけて囁く。
そのままフレームアウトした梓の代わりにやってくる剣史。
剣史『なんだお前…その顔…。』
クイッと向けられたあご。
払うように逸らした。
『別に……。』
どんな色も含まない声。
その瞳にすら感情を滲ませない。
剣史『まさか……あいつが来たのか……？』
細い腕を掴んで軽く揺らされる身体。
剣史『何を言ってった……？おいっ！』
『何も………。』
剣史『何もって事はないだろ…？俺たちの事…話したのか…？』
Aは剣史にグッと顔を寄せる。
『話して…欲しかった…？』
どの角度から見ても少しも読み取れない感情。
梓は爪を噛んで不機嫌そうな顔でAの演技を見ていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき(プロフ) - まだまだ落ち着かないですね。心配でドキドキしてしまいます。(笑)更新ありがとうございました！続き楽しみにしてますね！ (2017年4月5日 22時) (
レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月4日 18時
