一通のメール ページ26
その日の夜。
ドンヘは日本から帰国した。
スタジオに顔を出した時、Aはよく見た顔で指定席の前に立っていた。
腕を組んで、少し怖いくらいの顔で。
「待って待って！どうしてそこを流すのよ。もう1度。」
*「でも……。」
「でも？でもが芝居に通用すると思ってんの？」
*「すいません…。」
「謝ってる暇があるならもう1度やりなさい。」
扉の前でその背中をジッと見つめるドンへ。
雪「お帰りなさい。」
横から声がしてハッと顔を向けた。
DH「雪さん。戻ってたんですか。」
雪「えぇ。うちの旦那様がうるさくてね。」
肩をすくめる。
雪「あいつは心配かける天才だからさっさと戻れって。」
クスッと笑うドンへ。
DH「ホントですね。」
でも…
俺が日本に行った日…
あの朝に見た背中はもうない…
しっかり女優の背中で…
立ってる…
あんな悲しい背中を見るくらいなら…
俺は女優の背中でいい…
「ほらまたよっ！」
*「ちゃんとやってます…。」
「やってないなんて言ってない。分からないの？自分で演じながら気付きなさい。」
顔を見合わせて笑う二人。
重要なシーンでもない。
残りの繋ぎ目を撮影しているだけなのに、Aは時々撮影を止めた。
今度こそ…
今度こそと思うのに…
幸せはいつだって…
その姿を思わせぶるように…
ちらつかせるだけ…
震え出した雪の携帯。
撮影を邪魔しないように急いで取り出す。
一通のメール。
雪と入れ替わるように日本へ帰国した凛からだった。
雪「………え…。」
一瞬で歪めた顔。
雪「凛……何考えてるのよっ…。」
そうぼやきながら慌てた様子でスタジオを出て行く雪。
何かあったのかと振り返るドンへ。
閉まりかけた扉を抑えて雪を追いかけるように外に出た。
携帯を耳に当てる雪はすぐに応答されたであろう凛に大きな声を出していた。
雪『凛…あれは何！？どういう事！？』
どんな会話をしているのか把握しきれない。
でも雪がとても動揺している事くらいは分かった。
雪『Aが？冗談でしょ！？あんなスケジュールを組んだらAが死んでしまうわっ！』
DH「えっ…。」
ドンヘは思わず雪の腕を掴んだ。
理解出来たのは
Aが死んでしまう…
そのフレーズだけ。
穏やかではない響きに背筋がゾッとしたのが分かった。
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みき(プロフ) - まだまだ落ち着かないですね。心配でドキドキしてしまいます。(笑)更新ありがとうございました！続き楽しみにしてますね！ (2017年4月5日 22時) (
レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月4日 18時
