二人の物語 ページ24
掴まれていた手が離れる。
鞄の中から取り出す携帯が映しだした名前。
「旦那よ……。」
Aは車を降りる。
IL「Aさん！」
扉を閉めようとした手が止まった。
IL「帰したくないと言ったら……。」
「………言ったら…？」
一度切れてもまた鳴り出す携帯がAを呼んでいた。
IL「その電話に……出ないで貰えますか…？」
流れる沈黙の時間。
Aは静かに扉を閉めた。
「……おやすみなさい……。」
こじんまりとした玄関を開けて中に入る。
真っ暗なリビングに明かりを灯して鞄を放った。
ソファに音を立てて座ると耳に運ぶ携帯。
「はい…。」
DH「……A…。」
聞きなれた声。
いつもAの名前を呼んでくれる声。
胸が握りしめられるような感覚を覚えてAは目を閉じた。
DH「もう……寝てたか…？」
「起きてるわよ…。」
続かない会話。
息苦しくなるような沈黙。
DH「雪さんに……会ったよ…。」
「そう………。」
"重いんだろ？Aが肩に乗せてるもんが…"
重いよ…
俺になんか想像付かないくらいに…
"だったら別れればいいじゃねぇか…"
電話の向こうでドンへが何か言うのを待っているA。
そんな事…
出来ない…
俺は…やっぱり一緒に背負いたい…
Aの肩に乗せてるものがどんなに重たくて…
俺になんか想像も及ばないものだとしても…
どこかいつも開ききってくれない心を…
分けて欲しい…
俺を…
必要として欲しい…
「話がそれだけなら………。」
沈黙に耐えられなくなったA。
電話を切ろうと耳から離す。
DH「A…。」
引きとめる声。
DH「やっぱり…子供は産もう…。」
「……え…。」
DH「俺が……全部背負う……。」
Aの頭を埋め尽くす「もし…」を…
DH「なんて…言ってやればいいのか分からなかった…。お前のあの泣き声を聞いて…。」
Aの顔が歪む。
DH「俺が……簡単に子供を優先しろとも…言えなくて……。でも……俺はやっぱり欲しいんだ…。」
俺と…
キミの子供が…
DH「A…言ったよな…？俺に……台本をくれって…。」
「……それ…が…？」
ドンヘは携帯を強く握りしめた。
"あなたがAの手を引いて導く未来が台本なのよ…"
DH「俺が……Aの台本になる…。」
「えっ……。」
DH「俺がキミを……俺たちの物語の中で手を引いて歩く……だから……。」
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みき(プロフ) - まだまだ落ち着かないですね。心配でドキドキしてしまいます。(笑)更新ありがとうございました！続き楽しみにしてますね！ (2017年4月5日 22時) (
レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月4日 18時
