心の休息 ページ20
海岸線に止まる車。
車に寄り掛かるイルと、少し前に出て身体を伸ばすA。
「随分久しぶりだわ……海を見るなんて…。」
IL「あなたには、心の休息が必要な気がして。」
Aの横に並ぶように立つイル。
視線を投げれば微笑まれた。
スラッとした長身。
ドンヘに負けない整った小さな顔。
ウェーブのかかった栗色の髪。
「余計なお世話だわ……。」
鼻で軽く笑われた。
IL「本当に気が強い……。そうでないと女優って仕事は務まらないんですか？」
「そうね……。」
IL「ご主人は大変でしょうね…。」
「どういう意味よ…？」
IL「あなたの感情の起伏の激しさに付いて行かなくちゃいけないんだから。」
「そうかも……しれないわね…。」
声のトーンが落ちた。
「私みたいな……女優でしか生きて行く術を知らないような女…。よく相手にしてると思うわ…。」
IL「でも……あなたは綺麗だ…。」
ジッと見つめるようなAの視線に見つめ返す視線。
IL「ご主人が…あなたを手離せない理由が…分かる気がします…。」
戸惑うような顔が逸れる。
IL「決まりましたか…？あなたの気持ちは…。」
どういう意味かはすぐに察する事が出来た。
「私は……。」
言葉に詰まる。
IL「やはり……産みたくないですか…。」
「正直…産みたいか産みたくないかと問われれば…きっと…産みたいんだわ…。」
私と…
ドンヘの子供…
私も思うの…
きっと…
可愛いと…
だけど…
どうしても諦められない…
女優として…
この手で守り続けてきたものを…
IL「出産となれば…それを近い未来に実現する事は…厳しいでしょうね…。」
「約束したのよ…。韓国でも主演女優を獲るって…。」
IL「ご主人と？」
首を横に振った。
「私を……大切にしてくれる仲間たちと…。」
IL「あなたが主演女優を獲らなければ、その仲間たちは離れてしまうんですか？」
「え…？」
IL「きっと…出産しても喜んでくれるんじゃ？」
「そう…かもしれない…。だけど…私が一番…取り戻したい……納得出来ないの…。」
寂しそうな顔で小さく笑う。
「最悪よね……。子供の命と女優…天秤にかけてるのよ…。」
IL「天秤…ですか…。」
「彼はきっと傷ついてる…私のせいで…。でもじゃあ…どうすればいいの…？」
小さな拳をギュッと握りしめた。
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みき(プロフ) - まだまだ落ち着かないですね。心配でドキドキしてしまいます。(笑)更新ありがとうございました！続き楽しみにしてますね！ (2017年4月5日 22時) (
レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月4日 18時
