重荷の正体 ページ14
小さな背中。
でもスタジオの中の存在感は誰にも負けない背中。
その背中がとても寂しそうだった。
「私は……女優よ……？」
DH「だからなんだよ…？女優だって子供を持ってる人もたくさんいるんだぞ…？」
「そうね………。」
DH「Aだって……。」
「私はっ！」
ドンヘが続けようとした言葉を遮った。
「欲しいのよ………。」
DH「……欲しい…？」
「主演女優が欲しいの……。」
その為には…
一瞬でも立ち止まれない…
今日よりずっと…
明日は上に行かなきゃいけない…
そうやってやってきた…
そうじゃないと置いていかれる世界だから…
それは私が一番…
よく知ってる…
「どうしても………この手に取り戻したい…。」
ジャケットのポケットから取り出した手を持ち上げる。
それをギュッと握った。
「引きずり降ろされたままなんて……我慢出来ないのよっ！！」
ドンヘはAの悲しいくらいの声を背中から強く抱きしめた。
DH「それは……もう少し先の未来でも…。」
「そんな事してる暇はない……。」
DH「どうしてっ！」
「もう若くないのよ……？」
DH「出産も同じだろ…？」
「年齢で子供を取るくらいなら私は主演女優を獲りたい…。」
DH「A………。」
震わせる肩。
震わせる声。
頬に落ちる涙がドンへの腕に落ちた。
「どうしても……。」
ドンヘの手に添えられた手が強く握ってきた。
「私は…………一番がいい……。」
俺には…
きっと到底理解出来ない思い…
「一番売れてる女優がいい！！主演女優が欲しいのっ！！」
心の底から絞り出すような声。
セリフでも聞けないような声だった。
じゃないと…
そうじゃないと…
もう零れ落ちてる…
私のこの手の中から…
色んなものが…
それを全て失ってしまう前に…
早く…
早く取り戻さないと…
私は…
Aの身体を向き直らせるドンヘはもう一度Aを強く抱きしめた。
これが…
長い間…
Aがこの細い肩に乗せて来たプレッシャーなんだ…
俺にはない…
Aにしか分からない…
重荷…
引きずり降ろされてから…
必死で耐えてきたもの…
俺は…
どうしてやればいい…？
俺は…
なんて言ってやればいいんだよ…
ドンヘの腕の中でワンワン泣いているA。
それ以上何も言えなくて、ドンヘはただ抱きしめてあげる事しか出来なかった。
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みき(プロフ) - まだまだ落ち着かないですね。心配でドキドキしてしまいます。(笑)更新ありがとうございました！続き楽しみにしてますね！ (2017年4月5日 22時) (
レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月4日 18時
