心を軽くする呪文 ページ12
その日。
最後の撮影は夜の薄暗い公園の中だった。
少し肌寒い風。
ライトがたかれて、スタッフたちが準備する間Aは椅子に座って足を組む。
閉じ込められていたヒソンをジテが助けに来る設定。
スタジオで撮り終わった部分をくっつけてひとつのシーンが完成する。
また…
聞かなきゃいけない…
あの言葉…
"愛してるよ…………ヒソン……"
今度は言わなきゃならない…
"ジテ………愛してる………"
抱きしめる腕と…
重ねる唇…
もうやりたくないのに…
小さなため息。
DH「不安か……？」
傍らから降ってくる声。
「別に……。」
顔も見上げず答えた。
Aは目を閉じる。
大きく一人深呼吸した。
スタッフから声をかけられる。
立ち上がってスタートの場所へ立った。
そこから少し走って足を止める二人が見つめ合って愛を囁く。
スタッフたちがそれぞれの位置に立つ。
少しだけ緊張する瞬間。
スッとさらわれたAの小さな手。
ドンヘは真っ直ぐ前を見たままAにしか聞こえないような声で言った。
DH「俺に……芝居するな……。」
振り返るととても優しい微笑みを見せた。
DH「ジテは……俺だ……。」
戸惑う顔で見つめ返す。
DH「ヒソンは……お前なんだ…A…。」
まるで呪文。
心の中をほんの少し軽くする。
JH「よーい…。」
カチン！！
と音がするとドンヘはAの手を取って走り出す。
それをカメラが並んで追いかけた。
(HS)「ジテ……待って……。」
躓きそうになるヒール。
ヒソンはヒールを脱ぎ捨てた。
段々楽しくなって走りながら笑い出す二人。
思い切り息を乱して足を止めた。
(JT/DH)「奪還成功。」
(HS)「なんで……。」
(JT/DH)「なんで？」
(HS)「どうして来てくれたの……？」
(JT/DH)「決まってるだろ……。」
繋いだ手もそのままに寄せる身体。
絡みつかせる視線。
(JT/DH)「ヒソン………。」
A…
(JT/DH)「愛してる……………。」
愛してる……
(HS)「ジテ…………。」
ドンヘ…
(HS)「私も……。私もあなたを……愛してる…。」
私もあなたを…
愛してる…
(JT/DH)「もう……絶対離さない……。」
(HS)「離さないで……。」
少しの迷いもなく重ねた唇。
お互いの腕でお互いの身体を強く抱きしめた。
カメラを止めていいのか迷う程、深く、長く、二人はずっとキスをしていた。
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みき(プロフ) - まだまだ落ち着かないですね。心配でドキドキしてしまいます。(笑)更新ありがとうございました！続き楽しみにしてますね！ (2017年4月5日 22時) (
レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年4月4日 18時
