限界 ページ8
ドンへがいなくなって6日の早朝。
HC「もう限界だ…警察に…。」
心配であまり眠れず、イライラがMAXのヒチョルはソファを立ち上がる。
LT「…待って…。」
イトゥクはヒチョルの腕を軽く引き留めるように掴んだ。
ドンへからいつ連絡が来てもいいように手放さなかった携帯を握りしめる。
それでもすぐには耳に運ばず何か迷うような顔を歪めた。
HC「お前…心辺りがあったのかよ…？」
そう言われてイトゥクはヒチョルに軽く視線だけ投げた。
この電話をかければ…
俺は…
重たい溜息がコールに変わる。
午前7時。
少しずつ動き出すソウルの街。
A「もしもし…？」
耳に流れたのは眠たそうなAの声だった。
LT「…おはよう。ごめん…起こした…？」
A「ジョンス。おはよう、早いのね。」
優しい口調の後に小さな苦笑い。
この電話が鳴るまでは寝ていたんだろう事はすぐに理解出来た。
A「…どうかしたの？朝から…。」
歪んだままの表情でギュッと閉じた目。
A…
俺は…
頭の中が先を呟く事を拒否する。
その口は別の言葉を吐き出していた。
LT「…ドンヘが…いなくなった…。」
A「………え……？」
LT「もう今日で6日目だ…。」
A「…いなくなったって何よ！？…なんで…。」
LT「分からない…。」
Aの声がどんどん落ちていく。
LT「A……探して…欲しい……。」
君なら…
分かるんだろう…？
ドンヘの行きそうな場所が…
頭の中でそう続けた。
A「探してって…。」
LT「頼む…。心当たりを……探して欲しいんだ……。」
A「携帯は？！」
LT「コールしない…。」
Aは携帯を耳から外してその手をおろした。
LT「もし…何か分かったら連絡を…。」
イトゥクはそう付け加えて電話を切った。
パジャマ姿のまま、茫然としてベッドに座りこむA。
泣きだしそうな顔で頭をもたげた。
行ってあげればよかった…
いつもよりずっと暗くて…
思いつめたような声をしてた…
だけど…
怖かったから…
ジョンスの元に…
気持ちが戻ってこれなくなりそうで…
それが怖かったから…
ドンヘ…
どこに…
Aは急いで服を着替えると、携帯を鞄に押し込んで部屋を飛び出した。
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年1月7日 10時
