約束 -赤い糸- Part2 (ページ29)

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約束 -HAPPY END③- ページ29

両手でブーケを握りしめて、そっと顔を上げる。

Aをじっと見つめて神父の前に立っていたのはドンヘだった。

段取りなど全てが吹き飛んで頭が真っ白になる。

とても驚いた顔をして、ただ固まったようにそこに立ちつくしていた。

イトゥクが着ていたはずの真っ白なタキシード。

その手には真っ白な手袋を軽く握って、Aの花嫁姿に見とれながら嬉しそうに微笑んだ。

綺麗だ…

知らなかったよ…

Aが…

いつの間にか…

こんなに綺麗になっていたなんて…

驚いていたAの表情が、みるみる泣き顔に変わって行く。

化粧が落ちる事を気にもせず、ポロポロと涙を落としていた。

一歩ずつゆっくりゆっくり前に足を出して歩く。

それでもせいてしまう気持ちと同じように、歩幅が速くなっていく。

ドレスの裾を手でつかんで軽く持ち上げると、ドンヘに走り寄っていく。

A「ドンヘ！」

DH「A…。」

ブーケを落として両腕でしっかりドンヘにしがみつくように抱きついた。

ドンヘはAの細い体を壊れそうな程ギュッと抱きとめる。

新郎新婦の全く予期せぬ行動に、慌てる式場関係者。

ドンヘが着ていた黒のスーツ姿で、開きっぱなしの扉の外に歩いてくるイトゥク。

傍に寄り添うように、スーツのポケットに両手を突っ込んで並んで立つヒチョル。

しっかり抱き合っている二人を眺める。

HC「バカだな…。お前はほんっと…正真正銘のバカだよ…。」

呆れた顔をするヒチョル。

イトゥクは微笑みの中に寂しそうな顔をしまって軽く笑った。

LT「そうだな…。自分でもそう思うよ…。」

それでも…

Aとドンヘが幸せなら…

それでいいんだ…

HC「本心か…？それは…。」

疑うような視線を投げる。

LT「ああ。俺が嘘ついた事なんかないだろ？」

横目で視線を投げ返して軽く笑い飛ばすイトゥク。

HC「いや…お前は嘘ばっかりだ…。」

泣きたいくせに…

そうやって…

無理して笑いやがって…

不機嫌そうな顔になるヒチョルに、イトゥクは苦笑いした。