星空 ページ23
マンションのロビーを出て少し歩いた場所でAは足を止める。
A「なんか冷えるなぁ…。」
汗が噴き出す程の暑さだったのに、夜は随分冷え込んでいた。
ノースリーブから伸びた細い腕をさすって空を見上げる。
たくさんの星が出ていて思わず微笑んだ。
A「星が…綺麗…。」
別れよう…
ジョンスとは…
ドンヘへの気持ちを残しているのに…
彼に幸せにして貰おうなんて…
やっぱり間違ってる…
そう思ったら、いつも笑顔でいてくれたイトゥクの顔が浮かんできて、泣いてしまいそうだった。
その時。
LT「A！」
背中にイトゥクの声を浴びてAはハッとする。
振り向く事が出来なくて俯いてしまう。
LT「…どうして…寄ってくれないんだよ…。」
小さな声。
不安そうな声。
Aは唇を軽く噛んで振り向こうとした時、背中を包み込むたくましい腕が身体を覆った。
もう何度も抱きしめられて、よく知った腕のぬくもり。
一気に涙が浮かんで、ギュッと目を閉じる。
LT「ありがとう…ドンヘを…連れて帰ってきてくれて…。」
囁かれる言葉に、Aは顔を歪めて首を横に振った。
A「ありがとう…なんて言わないで…。」
Aはイトゥクのまわされた腕に手を添えた。
A「ジョンス…いつか…言ってたよね…。」
"俺はずるいんだ…"
って…。
でも…ずるいのは私なの…
あなたを愛しいと思うのに…
ドンヘの笑顔が思い浮かぶ…
あなたの言葉で素直に喜びを感じるのに…
ドンヘの声を思い出す…
心の中にぽっかりと…
あなたの色に染まらない部分がある…
二つの想いに心が揺れて…
それなのに…
あなたの傍はとても心地よくて…
ずるいと分かっていたのに…
離れると言えなかった…
A「最低なのよ…私は…。」
イトゥクの腕に添えた手で、回された腕をそっと離す。
ゆっくり振り返って、大粒の涙を落とす。
A「ごめんなさい…。あなたを傷つけて…苦しめていた…。」
私を…
大事にしてくれるのに…
私を…
愛してくれるのに…
あなたを泣かせるだけだった…
閉じた瞼から途切れる事なく涙が溢れる。
俯いて細い肩を震わせる。
Aの涙につられて、イトゥクの瞳にもたっぷりと涙がたまる。
泣いているAの姿が儚くて、イトゥクはAをしっかり抱きしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年1月7日 10時
