波の音 ページ17
DH「俺がデビューしても、学校来る時は…弁当作ってくれよな…。」
ボソッと一言投げる。
DH「お前のまずい弁当じゃないと、食った気がしないんだよ…。」
続けた言葉にムッとするA。
A「まずいって何よ！」
DH「まずいもんはまずいんだよ。」
A「もう絶対作ってやんない…。」
ふくれっ面を見せて顔をそむけるA。
少しの沈黙の後。
DH「お前は…ちゃんと俺が…守って行く…。」
躓きながらようやく出した言葉。
Aは顔をしかめてドンヘを見る。
ドンヘもAとしっかり視線を合わせた。
DH「…心配…すんな…。」
芸能人になったって…
どこにいたって…
俺がちゃんとAを守ってやる…
だから…
何も心配すんな…
不器用な言い回し。
そっけない口ぶりなのに、やけに力強かった。
A「…ドンヘ…。」
DH「俺がいないと…お前は危なっかしい…。」
茶化すように無理矢理元気な声を出す。
それでもやっぱり声を小さくして
DH「だから…一人で勝手に…どっか行くなよな…。」
と言って視線を落とした。
Aはどう答えればいいか分からなくて、すぐ横にあるドンへの手をキュッと握った。
ドンヘは手をひるがえして、指を絡めて握り返す。
自然と合わさる視線。
言葉が出なくて見つめあってしまう。
身体を少しAに向けて絡めていたAの手を自分の腰に置くと、Aの肩を抱き寄せた。
心臓が飛び出しそうな鼓動を打って、それが手に取るように分かる。
顔を近づけるドンへはAと鼻先をくっつける。
DH「絶対…俺から…離れるな…。」
絶対だ…
そう囁かれるとAは
A「うん…。」
と小さく答える。
頬にかかっているドンヘの吐息。
ドンヘは小さく唇を開くと、震わせないように装って、Aに柔らかいキスを落とす。
Aは目を閉じて、やけどしそうなドンヘの唇を受け入れる。
身体を強く抱き寄せると、しっかりと重ね直した。
小さく寄せては返す波の音だけが、二人を包んでいた。
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年1月7日 10時
