約束 -赤い糸- Part2 (ページ11)

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真新しいバイクページ11

SM「トゥギヒョンは…今のままで幸せなの…？」

そんな風に聞かれると思わなくて、イトゥクは戸惑う。

SM「Aとトゥギヒョンを引き裂きたいわけじゃないよ…。」

だけど…

僕には…

ヒョンが幸せそうには…

とても見えないよ…

その一言が全てだった。

今のイトゥクもドンヘも、そしてAも…。

誰の目にも幸せだとはどうしても映らなかった。

Aは電車の先頭車両の座席に座る。

心地よい揺れが、ドンヘを探し回って疲れたAの体を、心地よい眠りに誘う。

DH「A…。A…。」

朝のホームルーム。

一番後ろの席で、前の席の友達と小声で笑って話していたA。

名前を呼ぶ声が聞こえて、廊下に目を向ける。

すると、教壇の担任を気にしながら、扉に隠れるようにしてしゃがんでいるドンヘが手招きしていた。

A「…ドンヘ…何してんの…？」

Aは小さな声で身体を乗り出して返事をする。

DH「さぼろうぜ。」

A「は？」

DH「いいから。早く！」

ヒソヒソとやりとりされる会話。

Aは黒板に向いている担任の隙を見て、リュックを掴むとそっと教室を出た。

ドンヘは楽しそうに笑ってAの手を握るとグイグイ引っ張って学校を抜けだした。

校門を抜けて学校の外に出て暫く走ると、そこにピカピカのバイクが止まっていた。

カギを差し込んで嬉しそうにボディを撫でる。

A「ちょっと…それどうしたの？」

DH「凄いだろ。デビューのお祝いに買って貰ったんだ。」

少し興奮したような口調で言っては笑う。

DH「一番最初にAに見せたかった。」

照れくさそうに笑うドンヘの顔。

脇に止めてあったピンク色のメットを投げる。

Aは落とさないように両手でしっかり受け取った。

DH「それ、お前専用な。」

Aはとても驚いた顔をした。

真新しい可愛いメット。

DH「お前しか…乗せないからさ…。」

独り言のように小さな声を投げて、Aの腕を引っ張ると、後部座席に座るように促す。

DH「ほら、早く乗れよ。」

A「ドンヘ…これ…。」

私の…為に…？

言葉に詰まるAの手からメットを取り上げると強引にかぶせた。

自分のリュックを胸にかついでシートにまたがると、重低音が身体に心地いいエンジン音を響かせる。

DH「ちゃんと捕まってろ。」

何度かふかして走り出す。

落ちそうな気がしてドンヘの身体にしがみつくように腕をギュッとまわした。