精いっぱいの相槌 ページ6
LT「おはよう。A。」
耳に流れてくる優しい声。
A「おはよう。ジョンス。」
Aは嬉しそうな声を返した。
LT「ごめん、まだ寝てた?」
A「大丈夫。起きてた。」
LT「良かった。」
他愛もないやりとり。
A「お仕事?」
LT「うん。これから。」
A「そう。頑張ってね。」
LT「ありがとう。あのさ、今夜仕事終わってから会えないかな。」
ビターないい香りがキッチンに漂うと、マグを持って椅子に座る。
A「うん。いいよ。特に用事もないし。」
LT「式の事、早目に色々決めておかないと、俺も仕事が不規則だからさ。」
式の話をされて、思わず頭によぎらせてしまうドンヘの顔。
BARでのやりとりを思い出してしまったら、なんだか少し腹が立った。
LT「A?」
A「え…ああ。ごめん。うん、そうだね。」
実のない返事。
LT「10時くらいになっちゃうと思うんだけど、大丈夫?」
A「平気。終わったら連絡して?こっち来るんでしょ?」
LT「いや…外で会おう。」
立場的にいつも会うのは大抵Aの家。
それが今日に限っては外でなんて言うイトゥクに小さな違和感。
A「外でって…いいの?」
付き合ってる事自体は隠していなかった。
が、目立ちすぎる行動は慎むようにと事務所からきつく言われていた。
イトゥクは不自然な間を作る。
軽く咳払いを一つした。
LT「A…。」
A「何?急に真面目な声出して…。」
やけに改まっている事が受話器越しに伝わってきてドキッとしてしまう。
LT「式の話がある程度決まったら…結婚…発表してもいいよね…?」
A「…え…。」
嫌なはずはないのに、すぐに言えない「うん」。
LT「…困る…?」
イトゥクは伺うように聞いてくる。
結婚を発表すれば…
その瞬間から…
私は…
何を迷う必要が…?
もう…
そうすると決めたのに…
自分で決めたはずなのに…
LT「いいよね…?」
Aから返事がなくて、不安そうな声を投げるイトゥク。
A「うん…。」
たった一言。
そう相槌を打つのがAに出来る精いっぱいだった。
LT「じゃあ、終わったら連絡するから。」
A「…分かった。」
切れた電話を耳から離す。
テーブルの上に戻した携帯の待ち受け画面。
去年、彼らが祝ってくれた誕生日。
ふざけた顔で映っているドンヘとA。
口元を緩めてディスプレイを眺めた。
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作者名:ゆちょみん | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時:2017年1月5日 15時