約束 -赤い糸- (ページ47)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:58,914 hit

不機嫌ページ47

数週間後。

久しぶりに、朝、Aの家の前で立っていたドンヘ。

DH「おはよ！」

いつもと変わらない笑顔で眠たそうなAを出迎える。

A「ドンヘ…。」

毎日当たり前のように一緒に登校していたのに、それが突然無くなってから、ぽっかり心に穴があいたような日々だった。

それがまた突然現れると、少しの違和感と懐かしささえ感じてしまった。

DH「なぁ、今度の週末空いてるだろ？」

A「週末…？」

DH「デビュー前のイベントがあるんだ！俺の初ステージだぞ！」

ドンヘがいなくなってから、抱え続けた寂しい気持ち。

それを少しも気にしてくれていない事になんだか少し腹の立ったA。

A「…忙しいから…。」

ぶっきらぼうにそう答える。

DH「忙しいってなんだよ…。どうせ男もいないんだし、忙しくないだろ？来いよ！」

その言い方が更にイラつかせる。

A「行かないって言ってるでしょ…。」

頬を少しだけ膨らませて、ドンヘの前を足早に歩いて行く。

ドンヘは足を止めて、一人前を歩いて行ってしまうAの背中を見て

DH「何怒ってんだよ…。」

と独り言を呟いた。

その日。

その後、何を言ってもAはいちいち突っかかるような返事をした。

学校へ行けばどこから嗅ぎつけたかデビューを知った女生徒達に囲まれた。

ドンへはまんざらでもなさそうにニヤッと顔を緩ませる。

小さな…

手ごたえだったんだ…

これから…

夢見た世界でやっていけるっていう…

昼休み。

ドンヘは休み時間になると増える女生徒たちと教室の前で少し談笑してから音楽室へ向かった。

いつも先に来ては「遅い」とふくれっ面を見せるAの姿が今日はまだ無かった。

DH「Aの奴まだ来てないのか？いつも遅いって怒るくせに…。」

雨が降り出しそうな韓国の空。

窓を開けて湿った空気を招き入れた。

無造作に積み上げられた机をひとつ。

窓際に置くと腰をおろして風に髪を揺らされた。