音楽室 ページ46
その頃。
ドンヘはどこへ行けば、楽になれるのか分からなくて彷徨うように街を歩いた。
自然に足が向かっていた場所は、大きな公園の大きなステージの前。
誰もいない客席の通路。
緩やかにひな壇になっている一番上の一番端に腰を落とす。
静まり返るステージを眺めていた。
何で俺…
ここに来たのかな…
思い出される昔の記憶。
A「え？Super…何？」
いつもドンへとお昼を食べる音楽室。
Aはその窓際できょとんとした顔をドンへに向けていた。
DH「SuperJuniorだよ！SuperJunior！」
A「その…Super…なんとか？…がどうしたの？」
やけに興奮した口調のドンヘ。
Aは首をかしげた。
DH「3ヶ月後、俺、SuperJuniorっていうグループでデビューするんだ！」
ピアノに寄りかかって嬉しそうに笑うドンヘ。
A「え…？」
しかめた顔の直後、手を顔の前で大げさに振った。
A「ないない…。冗談やめてよ…。」
DH「ホントだって！凄いだろ！やっと夢が叶うんだ！」
ドンヘはデビューの話を一生懸命Aに話した。
A「ホント…なの…？」
DH「だからホントだって！何度言わせんだよ！」
笑顔と興奮が収まらないドンへ。
Aは窓の外に視線を投げる。
デビュー…？
ドンへが…？
頭の中で色んな気持ちがグルグルと回った。
そんな事したら…
学校に来れなくなって…
家にも帰らなくなって…
ドンへが…
遠い人になって…
報告してから少しも笑わないAにドンへの声のトーンが落ちた。
DH「…何だよ…喜んでくれないのか？」
曇るAの顔を見てドンヘも顔を歪める。
A「そ…そんなことないよ！凄いじゃん！おめでと！」
ハッとした直後、笑顔を取りつくろって精一杯の元気な声を出した。
それでもすぐにまた物憂げな視線を窓の外に投げていた。
デビューが決まった後のドンヘは一気に忙しくなった。
学校よりレッスンに明け暮れる方が多くなり、休みがちになった。
Aはぽっかり空くことの多くなったドンヘの席を眺める。
窓から吹き込む心地よい風が長い髪を揺らす。
あの話を聞いてから…
まだ時間もそんな経ってない…
なのにもう…
雲の上の人…
か…
そんな事を考えては溜息が止まらなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SuperJunior」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年1月5日 15時
