夢 ページ5
遠くで泣いている子供の声。
A「ママぁ…。」
目を真っ赤にして大粒の涙を流して泣いているのは、幼いA。
連れてこられたショッピングモールで迷子になる二人。
ドンヘはAの手をギュッと握りしめて、母を探して歩いていた。
DH「なくなよ！おれがいるだろ！」
Aより頭ひとつ大きなドンヘ。
足を止めて行き交う大人たちを見渡す。
DH「なくなってば！」
A「だって…だって…ママがいなくなっちゃったんだよ…？」
DH「だいじょうぶだって！」
A「みつからなかったら……どうするの……？」
涙のなかなか止まらないA。
DH「おれがちゃんとまもってやる！」
幼いドンヘは手を握っているのとは逆の手でAの頭を撫でた。
しゃくりあげる呼吸。
俯いていた顔をあげてドンヘを見る幼いA。
残していた涙の粒が頬に落ちた。
A「…ほんと？まもってくれるの…？」
DH「うん！」
弱々しいAの声にドンヘは笑顔を見せる。
DH「そんで、おとなになったらおれがおよめにもらってやるからな！」
その言葉がとても嬉しくてAは小さな手で頬の涙を拭う。
A「やくそくだよ？」
差し出す小さな小指。
幼いドンヘは自分の小指を絡める。
DH「やくそく！」
Aの顔に笑顔が戻ると、ドンヘはとても嬉しそうに笑った。
約束…
守れなくて…
ごめんな…
寝言を呟くドンヘの目尻に小さな涙が浮かんでいた。
次の日の朝。
カーテンの隙間の朝日が眩しくてAは重たい瞼を開ける。
無意識に落ちる涙もそのままにボーッと天上を見つめるA。
約束…か…
ハッキリと覚えている夢なんて久しぶりだった。
まだ夢の中にいるような気さえして目を閉じて軽く息を吐き出す。
ゆっくり身体を起こしてベッドから出ると足音を立てて一階に下りる。
髪をかきあげて電気ケトルのスイッチを入れた。
テーブルの上に置きっぱなしの携帯電話。
カタカタとテーブルを叩く。
A「もしもし。」
コーヒーの用意をしながら眠たそうな声を出した。
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年1月5日 15時
