嫌な知らせ ページ33
もうすっかり日差しは夏。
照りつける太陽が肌に痛いくらいだった。
事務所の会議室で雑誌の取材を受けていた彼ら。
取材終わりにスタッフたちと楽しく談笑していた。
ドンヘの携帯が鞄の中で音を立てた。
DH「もしもし？」
軽いノリで応対するドンヘ。
DH「ああ、母さん。」
通話の相手は母だった。
のっけからやけにまくし立てていて話がうまく伝わってこない。
DH「どうしたの？そんな興奮して。」
ドンヘは軽く笑う。
DH「とりあえず落ち着いてゆっくり話してよ。」
深呼吸するような音の後、母はゆっくり話し出した。
DH「え……嘘だろ…？」
耳から離した携帯を落としそうになる。
母に言われた事がジワジワと現実味を帯びてくる。
次の瞬間には血相を変えて会議室を出ようとした。
LT「ドンヘ？どこ行くんだよ！？」
イトゥクはドンヘを呼びとめる。
ドンへは泣き出しそうな顔を向けた。
DH「Aのお母さんが…。」
事務所を飛び出してタクシーに飛び乗る。
早く…
早く…
心の中で何度も何度も繰り返した。
LT「そんなに悪かったのか…？」
タクシーの中でそう言われて、ドンヘは首を横に振った。
DH「母さんから…ずっと具合が悪くて入院したらしいって話くらいしか聞いてなかった…。」
LT「そうか…。」
ドンヘはギュッと自分の手を握る。
DH「あいつ…いつも何も言わないんだ…。」
いつだって…
どんな時だって…
すぐ泣くくせに…
一人で抱えて…
何も言わないから…
大事な時に…
辛い時に…
傍にいてやれない…
こんな時に限って渋滞している道路。
イライラが募ってくる。
二人はその場でタクシーを降りると、病院まで走った。
一般外来の終了した正面玄関の受付窓口は閉ざされていた。
イトゥクはあたりを見回して、近くの時間外受付の窓口に声をかけた。
乱した息を整えながら、ドンヘは近くを通り過ぎる看護師の腕を掴む。
Aの母の病室を聞きだすと、一人走り出す。
LT「あっ…おいっ！ドンヘ！」
話も途中のまま、イトゥクもドンヘを追いかけた。
病院なのに気にもせず音を立てて走る二人。
大きな医療機材のような物を運び出している看護師たち。
それを押しのけるように勢いよく扉を開いた。
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2017年1月5日 15時
