見覚えのある景色 ページ16
A「実は…今月で店閉める事になったんです…。」
ポツリと呟くような一言。
LT「え…無くなっちゃうの?お母さんのお店…。」
Aは寂しそうに顔を俯かせた。
A「母…少し身体の具合がよくなくて…。もうしんどいからって。」
LT「そう…。美味しかったのに…お母さんの料理。」
A「あ、でも。良かったら今度はうちに来て下さい!私もちょっとは作れるんですよ!」
元気を装うAの笑顔がとても健気だった。
ホームに入ってくる電車に二人で乗り込む。
2つ先の駅で降りればいいはずのイトゥクは、荷物を下げたままAの横に立っていた。
電車の中でもホームでも、明洞の街の中でも、イトゥクだと気づく女の子たちがざわつく。
注がれる視線は落ち着かないくらい。
それでも決して口数の多くないイトゥクの隣は妙に居心地がいい気がしていた。
Aの家に近づくにつれて、何となく見覚えのある風景。
LT「あれ…?ここ…。」
イトゥクは歩きながら辺りを見回す。
LT「見たことあるような…。」
独り言を呟く。
Aはクスッと笑うと一つ目の曲がり角の辺りを指さした。
A「あそこの角を曲がるとドンへの実家です。」
LT「あぁ。そうだ!ドンへと一緒に何度か来た。うん。」
思いだして納得するように頷く。
LT「本当に家すぐ近くなんだ。」
A「はい。母とドンへのお母さんが仲良しで、小さい頃からよく遊びに行ってました。」
小さい頃から…か…
なんか…
妬けるね…
シクッとほんの少し痛む胸。
A「ありがとうございました。」
ニッコリ笑うAは手を伸ばしてイトゥクの肩に下がっている袋を受け取る。
A「イトゥクさん、本当はもっと前の駅で降りる予定だったんですよね?」
LT「気にしないで。こんな重たいもの、女の子一人でなんて大変だよ。」
A「上がってお茶でもって…言いたいところなんですけど…店の荷物で散らかってて…。」
LT「そんな。俺が勝手に付いてきたんだからいいんだよ。」
向かいあって沈黙が流れる。
Aは何だか恥ずかしくて視線を合わせられなかった。
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作者名:ゆちょみん | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時:2017年1月5日 15時