幸せになる日 ページ1
夏の暑い日差しが、秋の風へと移り変わろうとしている9月。
ソウル市街の大きなチャペル。
よく晴れた日の午後。
道行く人までが何事かと顔を向けるほどの騒動が起こっていた。
*「とっても素敵ですよ。」
仕上がった花嫁を見て羨ましそうな声を出す係の女性。
花嫁は鏡の中に自分を映して口元を緩めた。
チャペルのロビーには続々と集まってくる招待客で賑わう。
すっかり出来上がった新郎。
真っ白なタキシードによく合う真っ白の手袋。
ロビーに姿を見せると会場が沸いた。
HC「俺より先に行くなんて、あんまりじゃねーかよ。」
不機嫌な顔の後に来る笑顔。
握りしめた拳をコツンとタキシードへ押し当てるのはヒチョル。
SM「おめでとう!」
SD「なんだ、意外と似合ってるじゃん。」
SW「孫にも衣装だよ。」
からかうようにタキシードにちょっかいを出す3人。
新郎は照れくさそうに苦笑いした。
なかなか見る事の出来ない芸能人の結婚式。
この日、韓国のアーティスト”SUPERJUNIOR”のリーダーであるイトゥクが結婚すると聞いて公道まで溢れそうな女の子が詰めかけていた。
KH「柄にもなく緊張してる?」
SW「花嫁を早くみたいね。」
キュヒョンとシウォンがクスッと笑いながらイトゥクに声をかける。
YS「ヒョンが結婚ねぇ…ピンとこないな。」
EH「わりといけるかも!ほら、ヒョン、仕切りと進行大好きだし?」
なるほど、という顔で頷くイェソン。
ウニョクは楽しそうに笑っていた。
メンバーの背中に隠れるように立っていたドンヘ。
声をかけたいのにうまい言葉が見つからない。
その顔に少しだけ寂しさを帯びた笑みを浮かべて、イトゥクを取り囲むメンバーを眺めていた。
EH「おめでとうくらい、言ってきたら?」
ウニョクはドンヘの肩に手を置く。
DH「ん…。」
ドンへは寂しそうに浮かべていた笑みを俯かせた。
本当に…
これでよかったの…?
ドンへ…
ウニョクの何気ない一言が心に重たい。
それでも精いっぱい取り繕う笑顔を浮かべて顔を上げる。
DH「いいんだ…。ヒョンが…幸せにしてくれる…。」
いいんだ…
これで…
幸せに…
俺の…
大事な…
ドレスを手伝い終わった係の女性達がいなくなった控室。
そっと立ちあがって、再び自分の姿を鏡に映す。
幸せなのに…
嬉しいのに…
なんでかな…
うまく笑えない…
口紅の乗った唇を軽く噛んで、ドレスのスカートをギュッと握りしめた。
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作者名:ゆちょみん | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時:2017年1月5日 15時