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叩かれる扉 ページ7

寮の自室に戻って来た涼太。

鞄を放ってベッドにうなだれた。


自分の腕を枕にして天井を見上げる。


A…

大丈夫かな…


大丈夫…だよな…

一人じゃないんだ…


頭の下から引っこ抜いた手をジッと見つめる。

その手を染めていた血は取れているのに、まだ赤い気さえする。


"胸を張りなさい…男として当たり前のことをした"


父の言葉を思い出して目を閉じた。


ドンドンッ!


突然。

部屋の扉を叩く音。


ドンドンドンッ!!


ノックレベルじゃない。

ムクッと起き上がると扉へ向かう。


ドンドンッ!!


RT『今開けるよ…ちょっと待って。』


急かす音に声をかけて、静かに開く扉。

押し入るように入って来たのはA。


RT『A!?何してんだよ。』


勢いに押されるように後ずさった。


『それはこっちのセリフよ!』


上下させている肩を見れば、走って来たんだとすぐに分かった。

しっかりとアザになってしまった口元が、昨日のことが現実なんだと物語る。


『停学ってどういうこと!?』

RT『あぁ。それ?』


部屋の中に戻っていく涼太を、靴を脱ぎ捨てて追いかける。


『どうして言わないの…?』

RT『何を?』

『昨日のことをよ!』

RT『起こっちまったもん仕方ねぇだろ?』

『何呑気なことを言ってるの!?停学だよ!?』

RT『父さんが休暇だと思えって言うし、授業もない気楽な生活を楽しむつもりだよ。』

『涼ちゃん!』


苦笑いを浮かべながらかわそうとする。

それでも、珍しく声を大きくしているAは怖い顔だった。


RT『そんな怖い顔すんなよ。喧嘩だって初めてじゃねぇんだし?』

『私の為じゃないっ!』


Aは小さな拳を握りしめた。


『私の…せいでしょ…。』

RT『お前のせいじゃない…。』

『私を守ろうとしてくれただけよっ!!それなのに…停学なんて…。』


唇をキュッと噛む。

悔しそうな顔で。


『私…校長先生に昨日のこと全部話す…。』

RT『A…。』

『何があったか全部話して涼ちゃんの停学取り消してもらうから!』


身体を翻せば結った髪が弾む。

涼太は細い腕を引き止めるように掴むと、軽く引き寄せる。


『止めたって無駄………っ!?』


身構える暇もなく重ねられたキス。

長い腕が、細い身体をしっかりと抱き寄せた。


唐突過ぎて閉じるのを忘れていた瞼。

力が抜けるようにゆっくりと落ちた。

重ねる想い→←停学処分



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設定タグ:片寄涼太 , ドンヘ , GENERATIONS   
作品ジャンル:恋愛
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なおたん(プロフ) - 見つけました。ありがとうございます! (2017年7月4日 12時) (レス) id: 42ca2f94b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - なおたんさん» トップにリンク貼ってありますのでクリックしてみてください。うまく飛べなかったら教えてください^ ^ (2017年7月4日 6時) (レス) id: ffdc0a5660 (このIDを非表示/違反報告)
なおたん(プロフ) - ありがとうございます!申し訳ないのですが、GENEのお話専用アカの開き方を教えてくださいませんか?? (2017年7月3日 20時) (レス) id: 42ca2f94b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - なおたんさん» GENEのお話専用アカつくりました。よかったらまた読んでみてくださいね^ ^ (2017年7月3日 20時) (レス) id: ffdc0a5660 (このIDを非表示/違反報告)
なおたん(プロフ) - 更新、お疲れ様です(*≧∀≦*)いやー、片寄さんと主人公ちゃんが仲直りして良かったです! (2017年7月1日 15時) (レス) id: 42ca2f94b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆちょみん | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/yuchuming  
作成日時:2017年6月23日 21時

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