進路 ページ14
少しずつ流れていく時間。
7月の初め。
担任はホームルームの時間に一枚の紙を配る。
*『ちゃんと決めとかないと単位削んぞー。』
ざわつく教室。
Aは机に肘をついて紙を指で撫でた。
書かれていのは三者面談の日程。
チラッと見る涼太は、配られた紙など見もせず、窓の外を眺めていた。
進路か…
もう三年生だもんね…
涼ちゃんは…
どうするんだろう…
もう決めてるのかな…
小さなため息。
お姉ちゃん…
来られるかな…
憂鬱な気持ち。
紙を無造作に折りたたむと鞄に押し込んだ。
その日の帰り道。
『ねぇ、涼ちゃん。』
RT『ん?』
肩を並べて歩くAと涼太。
『進路って…考えてるの?』
RT『あー。三者面談か?』
『うん。』
RT『お前はどうすんだよ?』
『私?』
落ちる視線。
『考えてなくて…。』
RT『お姉さん韓国だろ?来れねんじゃね?』
『分かんない…。連絡してみるけど…。』
RT『母さんに頼むか?』
『いいよいいよ。』
顔の前で大袈裟なくらい手を振った。
RT『お前の事、娘みたいに思ってっから、遠慮する事ねぇのに。』
あっけらかんと言いながらAの少し前を歩いていく。
足が止まるAはその背中を見つめた。
中学の時みたいにはいかない…
今度こそ…
本当に…
一緒って訳には…
いかない…
『涼ちゃん…。』
小さな声に呼ばれて振り返る。
RT『なんだよ?どした?』
あの日…
私たちが初めて繋がった日…
私は…
どこへも行かないって言ったけど…
蝶は…
きっと…
涼ちゃんだよ…
RT『A?』
飛び立ってしまうのは…
私じゃなくて…
RT『俺はどこへも行かねぇよ。』
Aの考えを遮って出た言葉。
まるでAの心を見透かしているみたいだった。
開いた距離を埋める様に戻ってくる。
RT『俺の答えは一つしかない。』
いつだって…
どんな選択肢を突き付けられたって…
『さ、三年なんだよ?』
RT『そうだな。』
『進学するか、就職するかで全然変わっちゃうんだよ?』
RT『そうだな。』
『涼ちゃんの未来なんだよ!?』
声を思わす大きくした。
RT『それでも、俺はお前と一緒がいい。』
Aの顔が歪む。
子供みたいだと笑うか…?
それとも…
安易だと怒るのか…?
俺が…
この考えを変えるのは…
Aが…
俺を必要としなくなった時だけだ…
涼太はAを見て微笑んだ。
234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なおたん(プロフ) - 見つけました。ありがとうございます! (2017年7月4日 12時) (レス) id: 42ca2f94b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - なおたんさん» トップにリンク貼ってありますのでクリックしてみてください。うまく飛べなかったら教えてください^ ^ (2017年7月4日 6時) (レス) id: ffdc0a5660 (このIDを非表示/違反報告)
なおたん(プロフ) - ありがとうございます!申し訳ないのですが、GENEのお話専用アカの開き方を教えてくださいませんか?? (2017年7月3日 20時) (レス) id: 42ca2f94b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - なおたんさん» GENEのお話専用アカつくりました。よかったらまた読んでみてくださいね^ ^ (2017年7月3日 20時) (レス) id: ffdc0a5660 (このIDを非表示/違反報告)
なおたん(プロフ) - 更新、お疲れ様です(*≧∀≦*)いやー、片寄さんと主人公ちゃんが仲直りして良かったです! (2017年7月1日 15時) (レス) id: 42ca2f94b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆちょみん | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/yuchuming
作成日時:2017年6月23日 21時