通勤ラッシュ ページ20
通勤ラッシュの時間帯。
ソウルの道はやけに混雑していた。
会社の近くまで車で送ってくれたドンヘ。
Aが助手席を降りると、開いた窓から顔を覗かせた。
「ありがとうございました。」
小さく頭を下げた。
DH「仕事頑張れよ。」
「はい…。」
嫌でも感じてしまう。
これから向かう先が薄暗い場所だと言う事を。
辛そうに伏せた視線がドンへにそれを実感させたのだろうか。
DH「終わったら電話する。」
「え…。」
DH「もう忘れたのか？夜食事しようって。」
「あ…。」
腕を伸ばしてAの頭を軽く撫でた。
DH「A。」
「はい…。」
DH「Aは俺を優しいって言ったけど、俺も出来ない事は出来ないって言うよ？」
ドンヘは真面目な視線を逸らさない。
DH「食事しようって言ったら食事するし、傍にいるって言ったら傍にいる。」
毎日…
たくさんの人へ愛を振りまく仕事をしているドンへが…
それをどんな気持ちで言っているのか…
私には想像も出来ない…
でも…
向けられた視線が真剣だったから…
「待ってます。」
そう…答えた…
精いっぱいの笑顔を取り繕った。
DH「待ってて。」
閉まっていく窓の奥から手を振るドンへ。
Aは手を振り返した。
たくさんの車の中に紛れてアッと言う間に見えなくなった。
前に進みたがらない足。
怖がっている心。
Aは手をギュッと握りしめると深呼吸して歩き出す。
ロビーを突っ切って10階のオフィスまで。
最近尻込みしていた香水くさいエレベーターに乗り込んだ。
痛い視線を身体中で感じながら。
例え…
私を待っているものが薄暗い部屋の隅でも…
私の傍にいると言ってくれたドンヘが…
恥ずかしくないように胸を張ってなきゃ…
自分に言い聞かせた。
開くオフィスの扉。
今日も華やかで忙しそうな女性社員たち。
一体なんの匂いなのかむせ返るほどの香水の匂い。
Aは表舞台を横切って薄暗い廊下の突き当たりの扉を開いた。
「おはようございます…。」
HJ「おはようさん。」
いつも通りの陰湿な空気。
Aは自分のデスクに座ってパソコンを立ち上げる。
意を決して立ち上がると部屋を暗くしているブラインドを片っ端から開けて回った。
JY「ちょっと…。」
TY「眩しいじゃないですか！」
キッときつい視線を二人に投げる。
「これが普通です。朝は開けて下さい。」
小さな勇気は冷たい視線となって返って来た。
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ゆちょみん(プロフ) - HARUさん» いつもありがとうございます。嬉しいです！少しずつ進展して行く感じを楽しみたかったのですがゆちょみんは毎度こういう展開（笑 (2017年3月8日 17時) (
レス) id: ffdc0a5660 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - りえさん» 読みに来て下さって嬉しいです。最後までどうかお付き合い下さい。 (2017年3月8日 17時) (レス) id: ffdc0a5660 (このIDを非表示/違反報告)
HARU(プロフ) - いつも拝見させていただいています!!どうなっていくのか本当に楽しみです。 (2017年3月8日 8時) (レス) id: 4fc073db1c (このIDを非表示/違反報告)
りえ - 切なくて読む度にドキドキして次がどうなっていくのかすごく楽しみです。 (2017年3月8日 8時) (レス) id: 3ce4f408e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - りんさん» ちょっと手さぐり過ぎててぐだっててごめんなさい。まあでもお話はゆっくり進行していきますので、じれったくても見守ってて下さいねｗｗ (2017年3月8日 1時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming
作成日時：2017年3月5日 16時
