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○3 ページ3






「…造花の場所が、分からなくて」









そう言うと、彼はぽかん、と口を開ける。

…なに?こんな狭い店内なのに造花の場所も分かんないのって?


…そりゃこんな花が詰み詰みで置かれてたら分かんないよ。







内心焦りながら、彼の次の言葉を待つ。


10秒くらいかな。いや、もっとあったかも。

次に彼が発した言葉は、









「………ゾーカ、?」









そんな、馬鹿みたいな一言だった。



















造花、って言うのが分からないのか。

彼は、果たして何に問いを向けているんだろうか。









「…造花、っていうのは、あの、布とかで作ったお花なんだけどお花じゃないみたいな、そんなやつで……」


「…ふぅん、それで?」


「えっ、…それが、どこにあるのかなって…」









体育座りをしていた椅子から足を下ろして、

ゆっくり立った彼は意外と大きくて、胸元に付けられていた名札には殴り書きしたような字で〔こたき〕と書いてあった。









「てんちょー、ゾーカってなんすか」


『ゾーカ?あ、造花ね、こっちですよー』









物腰柔らかそうなお爺さんが、腰を押さえて立ちながら、造花のある場所を教えてくれる。









その間も彼は髪を無造作にかきあげてキャップを被ったり、あくびをしたり、やりたい放題。

…なんでこんな子、雇ったの。









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作者名:にお | 作成日時:2020年6月9日 0時

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