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少しずつ慣れてきた道筋を歩き、すれ違うクラスメイトと笑顔で挨拶を交わす。
辺りを見回して快斗君の姿を探してみたけれど、既に学校に行ってしまったようだった。
「んん、もう少し早く出た方が良かったか」
ふう、とため息を吐いて空を仰ぐ。
中学生のときは一人暮らしで学校通いすることが許されなかったから、仕方なく親とアメリカで過ごした。
でも快斗君のことを忘れた日は一日も無くって。
だから、快斗君だけは譲りたくない。
*
ーー相談の結果、学校ではお互いを苗字で呼ぶことにした。
「おはよ、黒羽君」
隣の机にバッグが置かれ、顔を上げるとAが笑いかけてくれる。
「おはよ」と微笑んでふと横髪が跳ねていることに気付く。どうやら本人は気付いてないらしい。
「寝癖、ついてる」
「え、ほんとに?」
「ああ」
「ほんとだ……」
ポケットから取り出した手鏡を見、ばつが悪そうにくるくると髪の毛を指に巻き付けて直すA。
苦戦している様子が可愛かった。
俺の視線に気付いたのか、Aが手を止める。
「ないしょ、ね」
はにかみながら立てられる人差し指。
頬が熱くなるのがわかった。
やっべぇ、どうすんだ、俺。
席を立って女子の輪に加わり楽しそうに話し始めるAから視線を離し、頬に手の甲を当てて冷ます。
きゅっと胸を締め付けるような、そんな気持ちの意味を理解する日はそう遠くないようだった。
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月詠(プロフ) - ちょこさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます〜!!私の書く快斗くんがタイプに合ってて良かったです!!更新頑張りますね(*´∀`*) (2019年10月28日 17時) (レス) id: 01ace6dadf (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - すごく好きです!月詠さんが書く快斗くんめっちゃタイプです〜!更新頑張ってください!!まったり新しいお話をお待ちしております! (2019年10月28日 17時) (レス) id: 796ab8287e (このIDを非表示/違反報告)
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