黒いシルクのシャツ【ヴァリアー短編置き場】 (ページ7)

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黒シャツの重み:ザンザスページ7

仕事を終え、フラフラと屋敷を彷徨う。
Aのお気に入りの場所は、小さな書斎だ。
古いレコードもたくさん置かれたその場所は、きっと歴代のヴァリアー幹部の誰かが愛用していた場所なのだろう。
今の幹部には、少々似つかわしく無い、愛をテーマにした曲が多く存在していた。
ここにAが出入りしているのを知っているのは、ザンザスとマーモンくらいだ。
マーモンは特にAに興味がないのか、あまり関わりはない。ベルにそれを話すと「ししっ、孤児は金持ってないからな」とさも当たり前のことのように笑っていた。
ギィ、と音を鳴らして扉を開けると、そこには珍しい先客がいる。
「ボス？」
「てめぇか」
「珍しい、どうかしたんですか」
「ここは煩くねぇからな。…来い」

いつまでも入り口で突っ立っているAに、ザンザスが手を差し伸べる。
3人は座れるであろうソファーに寝そべっているザンザスの前に立つと、そっと後ろを向いて浅く座らせられた。
「、狭く、ないですか」
自分が座ったせいで、ザンザスは背もたれと自分の隙間に収まっている。
「構わねえ」
それだけ言うと、ザンザスはAのお腹に手を回したまま寝息を立て始めた。
「(これ、どうしたら…)」そわそわとする想いを隠しつつ、近くにある本に手を伸ばす。
すると、

突然、視界が黒と白に染まる。
目の前には、暖かな白いシャツと、はだけた胸元があった。
「…？！ぼ、す？！」
「じっとしてろ。」
上半身だけボスの上に乗ったまま。
ボスの頭上にある本に伸ばしていた手は、ボスの左手に掴まれていた。
ドクドクと鳴り止まない心臓の音が煩い。
恥ずかしさと落ち着かない鼓動に居心地の悪さと申し訳なさが混ざり合い、小さく身動ぎするものの、離してもらえる素振りは一切なかった。
ザンザスの落ち着いた鼓動と呼吸にリードされ、Aも次第に落ち着いて、いつしか眠りに落ちていた。

「…ボス、こんなところでら寝てるなんて珍しいね」
「…あれ、Aもいんじゃん。ししっ、ボスが女抱きながら寝るとか超レアじゃね。おい、ブランケットかけてやれよ」
「(コクリ)」