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ピンチ! ページ39

「あのね、二回もそうさせると思う?」

「きゃっ―――!」

直後、伸びた手が兎愛の手からパクトを叩き落とす。
ダークホールのその女が、変身を妨害したのだ。


「い、いたぁっ……」

手にかかる突然の痛みで、兎愛は思わずしゃがみこんでしまう。
落ちたパクトは、床を転がっていった。


「あれを拾いに行くこと、許さないわよ?妖精と交換なら、この女を開放してやってもいいけど……」
女は、絞まらない程度の力で、兎愛の首を持ち上げる。


「あっ……は、はなして……」
変身をしていないただの子供には、それだけの力でも十分に脅威で、振りほどくことは出来ない。


「……知ってるわよ?ランドセルの中に、妖精忍ばせてるの。残念ね、一緒に居ないから、変身できなかった」

「え……」

しまったと、兎愛は思った。
クラスメイト達なら問題ないが、この人はただの人間じゃないのだと。

だから、気配を気づかれた……と。

その直後だった。
ランドセル置き場の棚……兎愛のランドセルが、ガチャガチャと揺れだしたのだ。


「あ……ようせいさ……」

兎愛は思う。ランドセルのなかの妖精二匹が、自分のために今、出てこようとしている。
助けるために、飛び出してこようとしている。

だがそう思った時、全力で止めたくなった。
今出てきたら、変身出来ない上に二匹とも捕まってしまう。

「さあ、とっとと出てきなさい。でないとこの子供、本当に首を……」

軽く、脅しをかける女。
しかし、ランドセルは依然としてガチャガチャと揺れるのみ。

「ようせいさん……まさか……」

その時、ようやく気付く。
……ランドセルに、鍵がかかっていたことを。
がちゃがちゃとしているのは、鍵のせいで蓋が開かないせいだったのだ。

「まさか……鍵が開いてないなんて、言うんじゃないでしょうね。
仕方ないわ。でも、これで手に入るなら……」

「あうっ!」

ランドセルを開け、妖精を奪取する。女はそう思い、足手まといとばかりに兎愛を机にたたきつけるように落とし、棚へと向かった。

「いやっ、だめ……だめ!」

すぐにでも駆け出したかった。しかし背中を打ち、軽い痛みだが中々立ち上がれない。


「さー、今度こそ……」

女が近づくにつれ、ランドセルの揺れは激しくなる。まるで、危険信号を発信してるかのように。

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設定タグ:魔法少女 , 小学生 , 市販書き(一時創作)   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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きせ(プロフ) - やっぱり物足りないですよね。正直な感想、ありがとうございます (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
きせ(プロフ) - かなみさん 三部以降で、頑張って改善して行っているつもりなので、これからも応援よろしくお願いします! (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
かなみ - 描写が少し物足りなくて、面白いのに勿体ないと思いました。 (2019年1月14日 10時) (レス) id: 9e95386d93 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり@元花村すみれ(プロフ) - Twitterのフォローありがとう!最近バイトが忙しいけど、暇な時間に読んでみたい! (2019年1月3日 21時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
せいろん(プロフ) - どんな展開か楽しみにして読んでます(*^^*)がんばってくださいね! (2018年10月24日 8時) (レス) id: 795d0599c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きせ | 作成日時:2018年8月30日 20時

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