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ぬぐえないふあん ページ35

「……はい、朝の会を終わりましょう。
一時間目は体育の時間よ。男女それぞれ、更衣室で着替えてね」


文野の合図で、朝の会が終わる。
直後、教室はドタバタし始め、生徒は体操服入れをもって一斉に教室を出る。

が、その空気に飲まれず、一人だけ椅子に座ったままの生徒がいた。


「……暁月さんも、着替えに行きましょう?」
「はい……」

机に顔を伏せてうつむいているのは、兎愛だった。
そんな彼女を心配し、文野は声をかけた。


「……由川先生に聞いたわ。尾山さんを探してくれたのよね。
そして、あの子が休んでる理由も聞いて……」


「……うんどうしたら、昨日みたいに気分がわるくなって、すごくつかれちゃうんでしょ?
そしたら、たいいくも出来ないし……わたしだけ、うんどうしていいのかなって……」


涙目になりながら話す兎愛。
文野は、ここまで考えていることに、驚きを隠せなかった。


「暁月さん、あなたがそれを、深く考える必要はないと思う。
心配する気持ちはわかるけど、誰かのためにやらないっていうのは、その人のためにならないわ」

「でも、でも、おやまさんだけたいいく出来ないの、かわいそうだよ!」

焦り気味で反論する兎愛に、文野は冷静に話し続ける。

「暁月さんが体育に参加しなかったら、尾山さんは自分を責めてしまうかもしれない。
自分のせいで、あなたが楽しめなかったって」




「あっ……」

兎愛はハッとする。確かにそうだと。
自分だって、同じことを考えるはずだ、と……。



「せんせい。わたし、たいいくする!それで、たのしかったこと、いっぱいっぱい、おやまさんに……」

「ふふ……じゃあ、着替えてきなさい。私も準備するから」
文野は、一人の生徒を立ち直らせられたことに、内心ホッとして安堵していた。


「あ、更衣室の場所は……」

「そうだった!わたし、しらない……」


……簡単に更衣室の場所を教えてもらった兎愛は、体操服入れをもって教室を出ていく。



「はあ……先生って、大変ね」

口ではこう言いながらも、文野は生徒と関われることを楽しんでいるし、
その表情は明るかった。




「あらやだ。あなた、夢に満ち溢れてるじゃない……」

「え……?」

そんな彼女の心の中を見透かす、何者かの存在に、
その時まで気づくことはなかった……。

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設定タグ:魔法少女 , 小学生 , 市販書き(一時創作)   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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きせ(プロフ) - やっぱり物足りないですよね。正直な感想、ありがとうございます (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
きせ(プロフ) - かなみさん 三部以降で、頑張って改善して行っているつもりなので、これからも応援よろしくお願いします! (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
かなみ - 描写が少し物足りなくて、面白いのに勿体ないと思いました。 (2019年1月14日 10時) (レス) id: 9e95386d93 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり@元花村すみれ(プロフ) - Twitterのフォローありがとう!最近バイトが忙しいけど、暇な時間に読んでみたい! (2019年1月3日 21時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
せいろん(プロフ) - どんな展開か楽しみにして読んでます(*^^*)がんばってくださいね! (2018年10月24日 8時) (レス) id: 795d0599c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きせ | 作成日時:2018年8月30日 20時

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