ゆるしとやくそく ページ34
「あ……おやま、さん」
涙目で自分の方を見る兎愛に、優奈は若干複雑そうな表情をした。
「あの、昨日のことは、こっちがありがとうって言いたいくらいなの。
だからね、泣かないで」
「う、うん……」
優奈に、両肩をポンポンと優しく叩かれる兎愛。
怒ってはなく、悲しんでもいないことを知ると、ようやく涙が止まった。
「……昨日、何かあった?」
「あ!……な、なんでもない、です」
「ないです!」
昨日……そう言われてハッとする二人。
今この場では兎愛と優奈しか知らない。魔法少女と妖精に関わる話など、他人に易々と話せるわけもなかった。
「あ―――はあっ……、はぁっ……」
「おやまさんっ!」
良いムードを醸し出した矢先、ふらついた優奈はベッドに倒れこむ。
「尾山さん、もう暫く寝てなきゃ駄目ね。先生には、私から連絡しておくから」
「はい……」
由川に言われた直後、優奈は布団に包まってしまった。
「お、おやまさん……」
「あかつきさん……もうすぐおべんきょう、はじまっちゃうから……もどって」
そんな彼女を心配する兎愛だが、
言うとおりに時計は進んでいた。もうすぐ、朝の会が始まってしまう。
「……また、くるからね!ぜったい!」
兎愛は、時間の方を優先した。
また来ることを約束して、保健室を後にする……。
「わたしも、ほんとはね……もっと……」
布団に包まる優奈の独り言は、同じ部屋にいる由川にも聞こえてはいなかった。
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きせ(プロフ) - やっぱり物足りないですよね。正直な感想、ありがとうございます (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
きせ(プロフ) - かなみさん 三部以降で、頑張って改善して行っているつもりなので、これからも応援よろしくお願いします! (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
かなみ - 描写が少し物足りなくて、面白いのに勿体ないと思いました。 (2019年1月14日 10時) (レス) id: 9e95386d93 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり@元花村すみれ(プロフ) - Twitterのフォローありがとう!最近バイトが忙しいけど、暇な時間に読んでみたい! (2019年1月3日 21時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
せいろん(プロフ) - どんな展開か楽しみにして読んでます(*^^*)がんばってくださいね! (2018年10月24日 8時) (レス) id: 795d0599c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きせ | 作成日時:2018年8月30日 20時