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カーテンのなかの おんなのこ ページ4

「その子、だあれ?」

そう言って、カーテンの奥から現れたのは、
兎愛と同い年くらいの少女だった。

済んだ青色の髪の少女は、
警戒するようにカーテンから離れず、兎愛を見つめている。

「尾山さん、起きたのね。この女の子は、あなたのクラスの転入生よ」

警戒を和らげるように、由川は少女にやさしく話しかける。
そんな由川を見て、少女の表情も段々穏やかになっていった。

「て、てんにゅうせい……?」
「うん、てんにゅうせい!あかつき、とあっていうの!」

警戒が解け、カーテンから出た少女は、今度は興味を示すように、
転入生の話を気にし始めていた。
そんな少女に兎愛は、ここだとタイミングを考えて、自分の名前を言う。

「……わたし、おやまゆな」

兎愛が名乗ったことで、自然と自己紹介の空気が出来上がっていたのだ。
無意識にそれを自覚したのか、尾山優奈も自分の名前を名乗った。


「……尾山さん。体の方はもう、大丈夫?」
子供たちだけの空間が出来上がっている中、
由川はなんとか話を戻そうと話題を振る。


「だ、だいじょうぶ。たぶん……」
優奈は、笑顔を見せようとしていたが、
あまり余裕のある表情ではなかった。

そんな彼女を心配するかのように、
由川は念を入れて言葉をかける。

「無理をしないで、何かあったらまた来ていいのよ?」

「……うん!」
由川の優しさが伝わったのか、
優奈は笑顔で返事をした。


「それじゃあ、そろそろ戻りましょうか。他の子たちも待たせているし」
文野がそう言った途端、次の始業を知らせるチャイムが鳴り響いた。

「あ……よしかわ先生、ありがとうございました」

教室に戻らなければいけない……そう思った優奈は、
由川に一礼すると、保健室を出ようとする。


「……まって!おやまさん!」
そんな彼女の手を取り、静止したのは、兎愛だった。


「また、きぶんわるくなったら、たいへんだから……いっしょに行こ!」
「えっ、いいの?」

一緒に……そう言ってくれる生徒が居たことに、優奈は驚きを隠せなかった。
そして、その手をやさしく握る兎愛について行くように、保健室を後にする……。

「……あの子、ほんとに転入初日?」

「初めて……しかも、教室以外で会ったばかりの尾山さんと、すっごく馴染んでる。いい生徒ね」
そんな二人の様子を見て、教師二人も微笑み合うのだった。

にじかんめ さんすう→←ほけんしつ



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設定タグ:魔法少女 , 小学生 , 市販書き(一時創作)   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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きせ(プロフ) - やっぱり物足りないですよね。正直な感想、ありがとうございます (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
きせ(プロフ) - かなみさん 三部以降で、頑張って改善して行っているつもりなので、これからも応援よろしくお願いします! (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
かなみ - 描写が少し物足りなくて、面白いのに勿体ないと思いました。 (2019年1月14日 10時) (レス) id: 9e95386d93 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり@元花村すみれ(プロフ) - Twitterのフォローありがとう!最近バイトが忙しいけど、暇な時間に読んでみたい! (2019年1月3日 21時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
せいろん(プロフ) - どんな展開か楽しみにして読んでます(*^^*)がんばってくださいね! (2018年10月24日 8時) (レス) id: 795d0599c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きせ | 作成日時:2018年8月30日 20時

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