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ただいま ページ23

「……」

家の前まで来た。
兎愛は、玄関の前に立つと、すーはーと深呼吸をする。


「ママ、ただいまー……」

少し不安を持ちながら。だが、それを悟られないように。
そんな「ただいま」を言った。

直後、家の中から足音が聞こえてくる。
それは、どんどん近づいてきて……ドアのすぐ後ろで、止まった。




「兎愛、お帰り!ちょっと遅かったわね」

ドアが開き現れたのは、エプロンを着て髪を後ろ結びにした大人の女性。
……兎愛の母親、佐紀(さき)だ。


「おともだちが出来て、いっしょにあそんでたの」

先程のことを、全て言うわけにはいかない。
兎愛は、嘘をつくことが少し辛かったが、心の中でぐっとこらえた。


「転校早々、そこまで仲のいいお友達が出来たのね。お母さん嬉しいわ。さ、手洗って、
おやつあるわよ」

「わー、おやつ!おやつ!」

おやつの話が出た途端、兎愛は心の中からはしゃいだ。
嘘をついたことをすんなりと水に流しつつ、意気揚々と家に入り、ドアを閉める。



「……あ、ドーナツ!」

手を洗ってリビングに戻って来ると、テーブルの上には何個か、
ほかほかのドーナツが置いてあった。


「ちょっと作りすぎちゃったの。
お父さん帰ってくるまで、ラップに包んでおこうかしら……」


「えー、さめちゃう!つめたいの、パパないちゃうよ」

4個もあるドーナツ。2人で1個ずつ食べるにしても、2個余ってしまう。
せめて3個だったら……と、内心思う兎愛。


「そうねぇ。どうしよう……」

佐紀も、余ったドーナツの扱いに困っていた。


「……あ、そうだ。しゅくだいあるの!
おへやにもって行って、しゅくだいしながら食べる!」


「あらそう?ん、2個?そんなに食べて、晩御飯は……」

「ばんごはんも、たべれる!」


兎愛の迫真の表情と訴えに、佐紀はついに折れた。
もう一枚皿を用意すると、そこにドーナツを置き、ラップで包む。


「じゃあ、宿題頑張ってね」

「うん!」

兎愛は2つのドーナツを持ち、二階の自分の部屋へ戻っていった……。

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設定タグ:魔法少女 , 小学生 , 市販書き(一時創作)   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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きせ(プロフ) - やっぱり物足りないですよね。正直な感想、ありがとうございます (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
きせ(プロフ) - かなみさん 三部以降で、頑張って改善して行っているつもりなので、これからも応援よろしくお願いします! (2019年1月15日 22時) (レス) id: d21ca2596b (このIDを非表示/違反報告)
かなみ - 描写が少し物足りなくて、面白いのに勿体ないと思いました。 (2019年1月14日 10時) (レス) id: 9e95386d93 (このIDを非表示/違反報告)
花杜あみり@元花村すみれ(プロフ) - Twitterのフォローありがとう!最近バイトが忙しいけど、暇な時間に読んでみたい! (2019年1月3日 21時) (レス) id: bb468dc0cb (このIDを非表示/違反報告)
せいろん(プロフ) - どんな展開か楽しみにして読んでます(*^^*)がんばってくださいね! (2018年10月24日 8時) (レス) id: 795d0599c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きせ | 作成日時:2018年8月30日 20時

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