それは突然のこと ページ1
夢ノ咲に入学してきて、早一週間
そこそこ仲の良い友達もでき結構充実してきた頃
「Aさん」
「はい、、、?」
名前を呼ばれ振り向くとクラスメイトのオレンジ頭の彼が立っていた
「あぁ、えっと、おれ月永レオ!クラスメイトの!お前の斜め前の席の!、、、、、覚えてる?」
「えっと、、、、、?」
「覚えられてないかぁ、、、、」
何故声をかけられたのは分からないが明らかに落ち込んでしゃがんだ彼を見ると何か捨てられた子犬みたいで心が傷んだ
「ごめんね?」
と、眉を八の字にさせると
彼は
「そうか!!!」
と勢い良く立ち上がって此方に近づいて来て手を握ってきた
そのまま顔をグイっと近づけ
「覚えてないなら、、、、、知られてないのなら、おれをお前の記憶に焼き付ければ良いんだ!そうすれば良いんだ!やっぱり、俺は天才だな☆」
何を言ってるのか良く理解出来ず、はぁ、と気の抜けた返事をした
、、、、、いつまで手を握っているのだろうか
「その返事は疑ってるな?」
むーっと拗ねたように頬を膨らませた彼は
まぁ、いい!おれは心が広いからなっ!とぶつぶつ良いながら
握っていた手を片方だけ放した
そしてそのまま頬に手を添え
「疑ったお前が悪いんだからな」
と唇の端にキスを落とした
、、、、、
彼は呟きをこぼしたがそれは私の耳にはいる前に空気と混ざりあってしまい聞き取れなかった
顔から手を放したあと彼は
「わはは☆おれがお前の記憶に焼き付いただろ☆じゃあなA!」
と走って去っていった
暫く呆気にとられたが何をされたか理解すると
「、、、、、月永、、レオっ、、」
と廊下にしゃがみこんでしまった
走り行く彼の顔も私の顔も窓の外に映る夕日と同じ色をしていることに気づかないままにそっと
「やばい焼き付いたどころじゃないよ、、、、、」
と呟いた
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作者名:香奈 | 作成日時:2018年1月28日 14時