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/期待なんて ページ44

「今日の任務の資料は読んであるよね」



五条先生の言葉に頷く。


今日の任務は、老朽化したアパートだ。取り壊す際に負傷者が何人も出ているらしい。行方不明も数人いるとか。




「本当は野薔薇とAの合同任務だったんだけど、今回は僕が同行する」



帳を下ろし、アパートに足を踏み入れた。…何度体験しても慣れない。



「来るよ」

「はい!」



出てきた呪霊を祓う。数が多いがそれほど力のある個体は無かった。


私でも十分事足りるくらいだ。




「…気配が濃くなったね。近い」

「上ですね」




屋上から嫌な気配を強く感じる。


ごくりと唾を飲んで階段を登った。扉を開けるとニ級程度の呪霊と、フェンスの側で泣いている少年がいた。




「僕が祓う。お前はあの子を。」

「はい!」




竦む足を無理矢理動かして少年の元へ走る。
「もう大丈夫」と言うと、彼は私の腰にぎゅう、と抱き着いて泣き出した。


先生の方を見ると、ニ級程度の呪霊なんて一瞬で祓えるらしく既に呪霊は消えていた。




「はい、しゅーりょー!」

「お疲れ様です」




泣き続ける少年の頭を撫でながら立ち上がる。




「…っ!?」




突然、フェンスが外れた。グラリと体が傾いて、世界が反転した。


…老朽化しているから、脆かったんだろうな。死ぬかな。なんて、私の頭は妙に冴えていた。


少年と私は重力に逆らう事なく落ちていく。


上を見上げると五条先生が手を伸ばしていた。先生らしくない、焦った顔で。




「捕まれ!」



反射的に手を伸ばした。


その瞬間、あの日の事がフラッシュバックする。私に背を向けて、子どもたちを助けに行く先生。


当然だ。術師として、大人として彼らを助けるのは当たり前だった。


そこで五条先生が私を助けていても、私は怒ったはずだ。……なんて醜い感情だろう。うんざりする。


弱い私は、怖かった。また、先生に選ばれないことが。


選ばれないくらいなら、最初から期待しないほうがマシだ。


伸ばした手を引いて、男の子を思いっきり上に飛ばす。


流石先生。余裕で受け止めてくれた。それに安堵して、胸を撫で下ろす。


術師として、彼は助けないと。




「A!!」




…そんな必死な顔、しなくても。

見たことない顔で私の名前を叫ぶ五条先生。

らしくないよ。先生。



来るであろう衝撃に備えて、目を固く瞑った。

/きらい→←/おはよう



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ここ - 執筆お疲れ様でした!本当に大好きな作品で、何度も読み返させて頂いてます..!もう執筆活動はされない感じですかね...😭ととこさんの書く文章が本当に大好きなので寂しいです。もしまた機会があればもう一度お目にかかりたいです..!どうかお体に気をつけて下さい! (2023年4月4日 22時) (レス) id: 141a8a60c5 (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - 完結おめでとうございます....!最高でした😭 (2022年5月10日 12時) (レス) @page50 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
空木* - 完結おめでとうございます!前作の方を読んでいて、続編を必死に探したところ漸く見つかって歓喜しています、、素晴らしい作品をありがとうございました!! (2022年3月23日 16時) (レス) @page50 id: 4d0bb8efc1 (このIDを非表示/違反報告)
ととこ(プロフ) - 雪さん» 雪さん。コメントありがとうございます!雪さんのコメントに励まされて書き進めることができました…!櫻井さんの声素敵ですよね〜私はおそ松でハマりました(笑)好きになるキャラは尽くcv櫻井さんです(笑)他の作品も宜しければぜひ!! (2022年3月9日 23時) (レス) id: e28f50cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
ととこ(プロフ) - サブリオさん» サブリオさん。コメントありがとうございます!もっと書きたいことはあったのですが、力が足りず…(笑)ここまでご愛読いただき本当にありがとうございました! (2022年3月9日 23時) (レス) id: e28f50cbf3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ととこ | 作成日時:2021年12月31日 8時

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