リナリア２ (ページ37)

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あなたside ページ37

登坂さん…じゃなくて。

広臣。

広臣に送ってもらった住所をナビアプリに打ち込む。

『ここを…右ね。』

あっここ通ったかも。前に。

そんなこんなでナビ通りに歩けば、

『あっ、これだ。』

でーっかいマンション。

自動ドアをくぐってすぐ、

もう通せんぼ。

ってか隆二くんって何号室……

知らないよどうしよう…

そう困っていると

ﾋﾟﾛﾘﾝ

直感で、広臣だと思った。

いつも困ってる時に助けてくれるから。

やっぱり広臣。

( ９０２。頑張れよ。)

ほんとにベストタイミング。

ナイストサカ！！

『…9、0、2っと…』

＂ピーンポーン＂

あっチャイムはベーシックなんだね。

しばらく応答がなく、

少し待っていると、

「…はーい。」

と、まさに鼻声でカスカスな声。

『あのっ、Aです。…大丈夫ですか？』

「えっ、Aちゃん！？」

急に話したからか、インターホン越しに咳き込む。

辛そう…。

「ごめん今開けるね。」

私を悪者かのように通せんぼしていたドアは、

隆二くんの手で簡単に開けられた。

エレベーターに乗りいざ９０２へ。

着いた部屋の入口にもインターホン。

それも押してみる。

そうしたら、今度はガチャっとドアが開き、

中から隆二くんが顔を出した。

見たこともない隆二くん。

弱っていて、目がとろんて。

少し呼吸も荒くて、どこかに走る痛みに耐えるかのように眉間に寄せるシワ。

全然、大丈夫じゃないじゃん…こんなの。

『隆二くん…辛いでしょ？すっごい。』

「大丈夫だよ、ちょっとした夏風邪。」

そう言って笑う。

私の前の隆二くんはいつもそう。

無理して笑顔を見せようとする。