リナリア２ (ページ27)

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隆二side ページ27

キスしてしまおうと、引き寄せようとしたとき

「あっ、そろそろアイス食べようよ！」

ひょいっと俺の上からいなくなってパタパタと冷蔵庫のある方へ行ってしまった。

そう簡単には、いかないか。

ってかどさくさに紛れてキスなんてしようとした俺が心底最低。

「はい、隆二くんはぶどうね。」

＂あたしはソーダ～＂

なんてるんるんしながら俺を手招く。

「ベランダで食べようよ。風、気持ちいよ。」

『そうだね。』

無邪気に笑うAちゃんのあとを追いベランダでアイスを一口。

『「んまっ！」』

はもったねとでも言わんばかりに俺を見上げて笑う。

「隆二くんのも食べたい！」

その一声で持っていたアイスを交換してまた一口。

『「んまっ！」』

「またはもっちゃった。」

そう言ってまた目を細めて笑う。

『好き、』

「あたしもだよ。」

・

思わず零れてしまった俺の気持ち。

その返事って…、、

『えっ、それって、』

「うん、コレでしょ？美味しくてあたしも大好きなんだよね。」

そう言って手に持つアイスをヒラヒラさせる。

そっち…か。

＂あたしもだよ＂

その言葉、、

俺に向けてだったら、いいのにな。

「大丈夫？酔っちゃった？」

今日はぜんっぜん酔えねえ。

もうわけわかんなくなるくらいに酔っぱらっちゃえば。

抱き寄せたって、キスしたって、

好きって言ったって、

＂酔っぱらいの言ったこと＂として忘れてくれるのに。

『酔っちゃったかもね。』

俺が今、その赤く膨れた唇にキスをしたら

Aちゃんはどんな顔をする？

そんなことしたら嫌われる。

勝ったよ、勝ち。

俺の理性の。