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(Aside)
常連さんの太宰さんはいつも1人で来店するのだけれど…今日は見たことのない青年を連れてきた。
それだけでも驚きだけど、更に驚いたことに彼は連れの青年を『敦くん』と呼んだ。

『敦…?』

無意識のうちに彼の名前を復唱していた。

敦「…はい、僕は中島敦ですが…。」

確かに青年はそう名乗った。
銀色の髪に愛らしい顔、紫色の瞳、アシンメトリーな前髪…何処かで見たことのある顔だとは思っていたが真逆、弟だったとは…。

『…本当に居たのね…弟……。』

注文の珈琲を淹れ終え、2人の席へと持っていく。

『お待たせしました。』

珈琲をテーブルの上に置く、

太「話をするんだろう?座るかい?」
敦「あっ、なら僕が移動しますよ!」

そう言うと敦が立ち上がり、太宰さんの隣に座った。

『有難う。では失礼して…。』

並んで座っている2人のテーブルを挟んだ向かい席に座る。

『…』
敦「…」

沈黙が流れる。
それだけならまだしも、お互いに何から話したら良いのかわからないからなのか私と敦は睨み合っていた。
その沈黙を破るように口を開いたのが知らん顔(まあ、実際1番関係ないのだから当たり前なのだが)で珈琲を啜っていた太宰さんだった。

太「君達姉弟は…。話しにくそうだから私から質問しても良いかな?」
『はい…。』
敦「済みません…。」
太「ではAさん貴女に質問だ。敦くんは孤児院に居た様だけど…Aさんも何処かの孤児院に?」
『いえ、私は…』

ちら、と敦を見て話を続ける。

『敦が産まれる前に親戚に預けられました。どうやら私は幼い時から異能を操作出来ず無意識に発動してしまっていたみたいなんです。それを親が気味悪がって私を手放したのでしょう…。引き取られた先でもそのせいで酷い扱いを受けて…15の時に自分から家を出て来ました。
それからはずっとこの喫茶店で働いて生活しています。』
敦「…姉さんは僕の存在を知っていたんですか?」

敦が俯いてそう言った。
" 姉さん "と呼ばれたことが嬉しくて顔の筋肉が緩んでしまう。

『知ってたよ。会いたいと思って休みの日はこの辺の孤児院を訪ねてみた。でも見つからなくて当然だね…太宰さんの探偵社に居たんだし、それに私と敦は似ていないんだから!!』

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作者名:小桜丸 | 作成日時:2018年4月3日 1時

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