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(敦side)
太「敦くーん。ちょっと喫茶店寄ろうよー。」
敦「えぇ…国木田さんに怒られますよ…？」
太「私のお薦めのお店があるんだ。だから行こうよー。」
敦「…はぁ。少しですよ。」
結局僕は根負けして太宰さんの案内でその喫茶店へと向かった。
仕事中＿それも依頼の調査中＿だったのだが…。
全く、太宰さんは自由すぎて困る。
はぁ、と溜息をつくのと店の扉に付いたドアベルのカランコロン、という音が鳴るのが同時だったため、僕の溜息はかき消された。
『いらっしゃいませ！』
太「やぁ！今日も麗しいね。共に心中して欲しいくらいだよ…！！」
『お好きなお席へどうぞー。』
……流されている。
店の奥から出てきたかと思うと太宰さんの言葉を華麗に流した女性。
右耳の下でひとつに結ばれた黒く艶やかな黒髪、目鼻立ちがはっきりした顔、紫色の瞳、アシンメトリーな前髪………ん？
この顔何処かで……？
『今日はお２人なんですね、太宰さん。』
うんうん悩んでいると凛とした声が聞こえて我に返った。
太「珍しい物を見たような言い方はしないでくれるかな！」
『済みませんね…。で？この子は一体？依頼されて誘拐でもし……まさか！この子と心中…？！』
敦「え」
太「違うよ！！？なんて失礼な！誘拐もしていないし、この子と心中なんかしないよ！
ねぇ、敦くん！！」
『敦…？』
店員の女性が僕の名前を復唱したかと思うと、驚いたような、でもどこか嬉しそうな表情で僕を見た。
『敦…中島……敦？』
敦「…はい。僕は中島敦ですが…如何して僕の名前を？」
『あっ、言ってなかった…私は中島A。
貴方の…実の姉です。』
敦「あー姉…姉ですか！よろしくお願いしま……姉？？！！！」
突然過ぎて思わず大きな声を出してしまったが、幸い店内に居るのは僕達だけだった。
『そう、姉。話すと長くなるだろうから…先、飲み物淹れて来ましょうか。ご注文は？』
太「珈琲を。」
敦「…僕も珈琲を。」
『畏まりましたー。』
そう言って女性…いや、僕の姉はくるりと背を向けて店の奥に行ってしまった。
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作者名：小桜丸 | 作成日時：2018年4月3日 1時
