「娘をなめんなよってこと。」 ページ7
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「推しの匂いはマイナスイオンだと思うの。」
そう真剣に話していた友人の気持ちが、今は充分過ぎるほどに分かる。
友人よ。推しの匂いはマイナスイオンだなんて言葉じゃ足りねぇぞ。
手を離すと、パパ黒はリビングに向かって一直線に歩いて行った。
私はその大きな後ろ姿を追う。
隣に並ぶと、パパ黒はこちらに目を向けず「お前、メシは」と問うた。
『晩ご飯?食べたよ!』
「そうか」
『パパは?』
「外で食ってきた」
『女の人を?』
「アウト」
ガキがそんな事言うんじゃねぇ、とチョップされる。
少し痛めのソレに頭を抑えて痛みに耐えていれば、可笑しな点を見つけた。パパ黒の歩き方だ。
一見大丈夫に見えるが、少しフラついているような。まるで怪我でもしてるような歩き方だ。
『…パパ、ソファに座って!』
「はぁ?何で座らねぇといけねぇんだよ」
『……だめ?』
ぶりっ子ぶって上目遣いでパパ黒を見上げる。
その切れ長の瞳と目が合ったかと思えば、パパ黒は反論することを断念したのか、ため息をつき「ヘイヘイ」とソファに腰掛けた。
それを確認すると、私は戸棚から救急箱を取り出し目の前の地べたに座る。
ごめんねと一言だけ謝罪をいれると、パパ黒のズボンの裾を思いっきりめくる。
そこには、予想通りに傷があった。しかもかなり大きな。傷口はそこまで深くなさそうだ。
私は黙って応急処置を始めた。『痛そう…』なんて事を呟きながらチマチマと処置をしていく。
「イッッ〜〜!!」
『痛かったら言ってね』
「 遅 せ ぇ よ 」
知ってる。(ゲス顔)
涙目で怒るパパ黒。やだもぉ〜可愛い〜!!おばぶ??ぜんいんとうじくん(5)かな??なんて気持ち悪いことを考えながら手を動かしていれば、処置はあっという間に終わった。
『これ、ただの応急処置だから、後でまた病院行ってね』
「治せよ」
『悪化させることならできるよ(満面の笑み)』
「……やっぱいいわ」
何を想像したのかは知らないが身震いするパパ黒。
その姿を見てクスリと笑うと、パパ黒は目を丸くして視線を逸らす。それから口を開いた。
「…それにしても、よく分かったな」
上手く隠してたつもりだったんだがなぁ。ニヤリと笑うパパ黒に、『まさか』と笑い飛ばした。
『あれくらい、見たら分かるもん』
────それが普通とでも言うように純粋な笑みを浮かべて言うAに、甚爾は「コレが天然タラシか」と思った。
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狐(プロフ) - 初コメです!失礼します!夢主も伏黒甚爾もめちゃくちゃ可愛すぎませんか!?吐血じゃないですけどゴフッって空気吐くくらい可愛いです!めちゃくちゃ応援します!更新頑張ってください! (12月30日 3時) (レス) @page48 id: 17039bfc90 (このIDを非表示/違反報告)
れれ(プロフ) - もうまって大好きです面白いと可愛いの大渋滞です…!!続編いつまでもまってます! (12月26日 4時) (レス) @page48 id: 9c9eeae16e (このIDを非表示/違反報告)
望奈 - おもろすぎん。 (12月8日 22時) (レス) @page48 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!めっちゃ好きです…!!パパ黒との絡みがてぇてぇ過ぎて吐血するかと思いました()更新頑張って下さい。楽しみにしてます! (11月30日 20時) (レス) id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだぁ - 投稿楽しみにしてます!! (11月26日 20時) (レス) @page48 id: f8f579a222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2021年1月13日 22時