泣くはずがないでしょ ページ30
.
────まずい。コレは、非常にまずいぞ。
ジリジリと近づいてくる男とその男の後ろに見える出口に、冷や汗が垂れる。
伏黒ママに視線を投げても、恐怖で足がすくみ動けないようだった。
「ひひ、そんな逃げんなよ、なーんも怖くねぇから」
嘘おっしゃい！！！！お前の目が嘘つきの目だって語ってんだよ！！！！てかお前の存在すら嘘だわこのチビデブ！！！！(暴言)
てかパパはまだなのか…！？ちら、と路地裏の先を見る。
だがどうだろう、パパはたくさんの美人に囲まれていた。心做しか本人も満更でもないように見える。
ぱ、パパｯ…アンタって奴は！！！！
「おいおい、どこ見てんだ？お前が見るのはこっちだぞ？」
『(うるせぇそれはイケメンにしか許されねぇ言葉だお前は使うな！！！！)』
────ひぃいいぃ、絶体絶命だよコレェ…！震える足を何とか立たせて思う。
伏黒ママだけでも早く逃げて、と視線を送る。だがその視線は空中をさまよって消えた。
『…じゃあ、私がここに残ったら、ママ、逃がしてくれる？』
震える声で言う。男は汚い笑顔を浮かべて「いいぜ」と頷いた。
だってさ伏黒ママ！！だから早く逃げてお願いだから！！！！あわよくば助けを連れてきて！！！！
「やめて！！」
目の前に滑り込んできた影に、目を見開く。…伏黒ママ？
「わ、私がここに残るから、こ、この子、この子だけは、逃がしてッ…！！」
私以上に震えた声で交渉するその背中は、女性らしい華奢な体だった。
男は気が変わったのか、それともただの馬鹿なのか、またもや頷く。
『…おねえさ、』
「は、早く逃げて…！わ、私は大丈夫だから…ね？」
振り返り大丈夫だと微笑む彼女。だがその足は震えていた。嗚呼 成程、と1人で納得する。
…なんか、パパが惚れたのも分かる気がする。
「…思ったよりヤベェな」
突然聞こえた低い声。全員が一斉にそちらを向いた瞬間には、男はもう倒れていた。
伏黒ママが驚いたように口を開ける。パパは、呑気に欠伸をしていた。
『…ぱぱ、』
「おー、お前のパパだぞ」
私を抱き上げ頭にキスを落とすパパ。何だか安心してしまって、涙ぐんでしまう。だが直ぐに拭った。べ、別に怖かったからって理由で泣いてねぇし！！！！
「…泣いてんのか？」
『ないてない…』
「…そーかよ」
────あーもう、優しいとか、ズルいなぁ。背中を優しく叩くパパの首筋に顔を埋めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5811人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狐(プロフ) - 初コメです！失礼します！夢主も伏黒甚爾もめちゃくちゃ可愛すぎませんか！？吐血じゃないですけどゴフッって空気吐くくらい可愛いです！めちゃくちゃ応援します！更新頑張ってください！ (12月30日 3時) (
レス) @page48 id: 17039bfc90 (このIDを非表示/違反報告)
れれ(プロフ) - もうまって大好きです面白いと可愛いの大渋滞です…！！続編いつまでもまってます！ (12月26日 4時) (レス) @page48 id: 9c9eeae16e (このIDを非表示/違反報告)
望奈 - おもろすぎん。 (12月8日 22時) (レス) @page48 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！めっちゃ好きです…！！パパ黒との絡みがてぇてぇ過ぎて吐血するかと思いました()更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (11月30日 20時) (レス) id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだぁ - 投稿楽しみにしてます！！ (11月26日 20時) (レス) @page48 id: f8f579a222 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イケメンになりたい。
| 作成日時：2021年1月13日 22時
