百合の花、遭遇する。 ページ4
.
私は困惑しすぎて固まっていた。
小説でよくある描写に、そんなものある筈がないだろう。
と体験したことがない故に、馬鹿にしていた頃の私に教えてやりたい。“そんなものあるぞ”と。
「何だ、お前。彼奴のガキか?」
風に靡くサラサラの黒髪。
ジト目気味の切れ目を縁どるまつ毛から覗く小さな瞳は、しっかりと私を捉えていた。
更には口元の小さな傷。
そして整った顔に、動きやすそうな黒のTシャツと、ダボッとしたジャージを履くこの男。
間違いなく、見覚えがあった。
「彼奴に呼ばれて来てみたのはいいものの…何だこのガキ。彼奴、俺に子守りでもやらせる気だったのか」
原作よりも少し若く見えるこの青年。
間違いなく、間違いなくこの男は私の父────伏黒甚爾であった。嘘だろマミー、この男を呼んでたの????
辺りを見渡し、女性を見つけた伏黒甚爾は明らかに顔を顰めて面倒くさそうに後頭部に手を当てた。
彼奴、と目を鋭くさせる伏黒甚爾。
恐らく“もうこの世には居ないから文句も言えねぇ”ぐらいの気持ちなのだろう。知らんけど。
原作キャラの気迫とその美貌に怯えて何も言えずにいると、彼は はたと止まる。
数秒考えるような仕草を見せると、今度はこちらに視線を投げた。
やだ私推しの眼中に入って見つめ合っちゃってる??エッヤダやばい泣きそう(オタク)
「………おい、ガキ」
『ひ、ひゃひっ!』
「…お前、コイツが見えるか?」
ピッと指さすのは、伏黒甚爾の肩に止まっている呪霊。
原作でもいた、ちょっと顔面にバブみがある呪霊だ。簡単に言えば、呪術廻戦版のテトである。
ここで嘘を言っても〇されそうな気がするので、素直に答えることにした。
必死に首を縦に振れば、伏黒甚爾はまたもや考える仕草を見せる。それすら様になってしまうのは可笑しいと思う。その美貌譲れ。
「お前、親戚は?」
『い、ない……と思いマス…』
「頼るところは」
『ない………デス』
「………ほぉ」
まるで面白いものを見つけたと言わんばかりの含んだ笑み。
それに悪寒がして思わず後退れば、伏黒甚爾も近づいてくる。
やがて目の前に来た伏黒甚爾は私の目線に合わせてしゃがみ込んだ。ヒエッッ推しが子供に優しくしてる可愛いしゅき…(顔を覆う)
「おいガキ、名前は」
『っぁ………あ、青影、A…、』
「んじゃA。
お前、俺ん所来い」
『…………へあっっ?』
5811人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狐(プロフ) - 初コメです!失礼します!夢主も伏黒甚爾もめちゃくちゃ可愛すぎませんか!?吐血じゃないですけどゴフッって空気吐くくらい可愛いです!めちゃくちゃ応援します!更新頑張ってください! (12月30日 3時) (レス) @page48 id: 17039bfc90 (このIDを非表示/違反報告)
れれ(プロフ) - もうまって大好きです面白いと可愛いの大渋滞です…!!続編いつまでもまってます! (12月26日 4時) (レス) @page48 id: 9c9eeae16e (このIDを非表示/違反報告)
望奈 - おもろすぎん。 (12月8日 22時) (レス) @page48 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!めっちゃ好きです…!!パパ黒との絡みがてぇてぇ過ぎて吐血するかと思いました()更新頑張って下さい。楽しみにしてます! (11月30日 20時) (レス) id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだぁ - 投稿楽しみにしてます!! (11月26日 20時) (レス) @page48 id: f8f579a222 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2021年1月13日 22時