きみのためならなんだって ページ27
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近頃、パパの出掛ける頻度が増えた。
出る時も帰る時も憂鬱そうにして出掛けていくから、一度『仕事大変なの?』と問うてみたが、違うらしい。
だが今日は何処にも行く気は無いのか、ぼうっと空を見上げている。
一方、私は小説を読んでいた。ペラ、と静かな空間に紙をめくる音だけが響く。
はぁ、とため息を着く音が聞こえた。それは空にゆらゆらと浮かんで消えていったと思えば、またその薄い唇から出ていく。
『…ねぇパパ、ため息ついてるけど、どうしたの?』
「…ンでもねーよ」
これ以上詮索すると彼は面倒くさそうに顔を歪める癖があるため、『そっか』と返事だけすると再び本に目を落とす。
作業のように羅列する文字を目で追う。その時、頭にずしりと重みが乗っかる。
筋肉質な腕に閉じ込められ、「来たか」と小説を閉じた。
「…A」
『ん、なぁに?』
本を膝の上に置く。腕に手を添え上を向くと、パパは何かと葛藤しているような顔をしていた。
「…お前、ママ欲しいか」
思わぬ言動に、ハッと息を呑んだ。
つまりそれは好きな人が出来たって事でいいの!?!?伏黒ママだよね知ってるんだよ私!!!!
『そ、それって、パパに好きな人がいるってこと?』
「違ぇわ阿呆。今度禪院家で祝儀をするんだと。その時に伴侶…まぁ分かりやすくいえば嫁を連れてこいって言われたんだよ」
何だよ違うのかよ…。思わず落胆してしまう。
愛らしくて優しいであろう美人さんを見れると思ったんだけどな、残念。
『そうなんだ!でもパパはお嫁さんいないよね?
…あ、最近出かけてるのはお嫁さんになるかもしれない人を探しに行ってるの?』
こくりと頷かれる。なるほど…それはヤバいな?
もし他の人を連れてったらその人が勘違いして無理やり…なんて事も有り得る。何故かって?パパがイケメンだからだよ!!!!
『…ねぇ、それにAも行っちゃダメ?』
「…は?」
何言ってんだとでも言いたげに緑の瞳が向けられる。
馬鹿正直に『パパの嫁知ってます』と言えるわけもないので、ほら!と人差し指を立てた。
『Aのママになるかもしれない人でしょ?それならAが見極めないと!』
「お前がそんなことする必要はねぇだろ…」
『あるよ!パパの良さが分からない人なんて、Aは嫌だもん!ねっ、パパ、お願い!』
極めつけには上目遣い。それに折れたのだろう、パパは小さくOKを出した。
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狐(プロフ) - 初コメです!失礼します!夢主も伏黒甚爾もめちゃくちゃ可愛すぎませんか!?吐血じゃないですけどゴフッって空気吐くくらい可愛いです!めちゃくちゃ応援します!更新頑張ってください! (12月30日 3時) (レス) @page48 id: 17039bfc90 (このIDを非表示/違反報告)
れれ(プロフ) - もうまって大好きです面白いと可愛いの大渋滞です…!!続編いつまでもまってます! (12月26日 4時) (レス) @page48 id: 9c9eeae16e (このIDを非表示/違反報告)
望奈 - おもろすぎん。 (12月8日 22時) (レス) @page48 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!めっちゃ好きです…!!パパ黒との絡みがてぇてぇ過ぎて吐血するかと思いました()更新頑張って下さい。楽しみにしてます! (11月30日 20時) (レス) id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだぁ - 投稿楽しみにしてます!! (11月26日 20時) (レス) @page48 id: f8f579a222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2021年1月13日 22時